2007年中の日本進出を明らかにし、注目を集めている中国の検索サービス事業者の百度(Baidu、バイドゥ)。中国ではGoogleを抜いて最もよく利用されている検索サービス「百度」を提供している。その強さの秘密はいったいどこにあるのか。
ベンチャー企業の経営者やベンチャーキャピタリストなどが一堂に会する「New Industry Leaders Summit 2006 Fall」(NILS)において、バイドゥ会長兼CEOのRobin Li氏が語った。モデレーターはグロービス・キャピタル・パートナーズ パートナーの小林雅氏が務めた。
中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)の調査によれば2006年におけるバイドゥの市場シェアは62.1%で、Googleの25.3%をはるかに凌ぐ。Alexaで見るとトラフィック量は中国で最も多く、世界でも第4位の規模という。
バイドゥは2005年に米国のNASDAQに上場しており、2006年第3四半期の売上高は前年同期比169%増の3000万米ドル(邦貨換算で約36億円)と急成長を遂げている。2006年通期の売上高はおよそ1億500万米ドル(同約126億円)になると見られている。
なぜバイドゥはここまで中国市場で圧倒的な強さを誇るのか。Li氏はバイドゥの強みとして、4つの点を挙げる。まず、検索サービスに特化しつつも、コミュニティ機能を搭載し、ユーザーのサービス乗り換えを防いでいる点だ。ユーザーが質問、回答しあえるQ&Aサービスの「知道」やトピックごとにユーザーが掲示板をつくれる「Post Bar」、ユーザーが辞書を自分たちで作っていく「百科」などのサービスを提供している。また、音楽や映像の検索、ブログサービスなど次々と新サービスを提供し、ユーザーがさまざまなサービスを一カ所で利用できるようにしている。
2つめは広告主への販売ネットワークの強さだ。直販営業部隊と代理店の両方を持ち、中国全土に顧客を持つ。代理店の数は200店舗以上あり、主要都市では50社以上の代理店を持つ。これにより、大企業だけでなく中小企業の顧客も数多く抱えることに成功した。バイドゥの広告主は10万2000社以上にのぼるという。
このほか、中国語に強く、中国文化や中国市場のユーザーの好みを把握している点や、経営陣をはじめとした優れた人材がそろっていることも競争力の源泉とLi氏は言う。Li氏自身、米国のInfoseekやDow Jonesで検索エンジンの開発にかかわった経歴をもつ。また、経営陣にはPrice Water House Coopersなどの大手企業に勤務した経験を持つ人が多く、2005年の就職人気ランキングで第1位になるなど学生の人気も高い。
中国のインターネットユーザー数は2005年時点で1億1100万人といい、そのうちの87%は検索サービスを利用している。中国ではインターネット人口が増え続けており、2010年には2倍の2億3200万人、検索サービス利用率は93%にまで伸びるという予測もある。つまり、バイドゥの成長余地はまだまだ大きいというわけだ。
主な収益源は広告で、2006年第3四半期にはリスティング広告のオークション機能を改善。自動入札や自動ランキングシステムを導入した。リスティング広告に関して、Overtureの特許を侵害してはいないという。
広告以外の収入源については、「社内で模索しているチームはある」としつつも、当面は考えていないようだ。「中国のインターネット市場はまだ小さい。ほかのビジネスモデルを探すよりも広告モデルを強化することで収益を伸ばしていく」(Li氏)
2007年には日本市場に参入する考えもすでに表明している。「日本語にマッチしたシステムを開発する。日本のユーザーに新しい検索エンジンの選択肢を提供したい」とLi氏は話しており、日本でもコミュニティ機能を重視した検索サービスを提供していく考えだ。
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