全ての始まりはInternet Explorer(IE)の公式ブログ上に掲載された謎めいた広告だった。その広告を見た好奇心旺盛なパズル愛好家たちはすぐさま、恐らく歴史上最も大がかりな双方向型懸賞と思われるその企画に引き込まれた。
米国時間2006年12月21日に掲載されたその広告には、小さな黒い箱が描かれ、その側面には数字とアルファベットから成る長い暗号が書かれている。さらにその箱の上には「大半の人はこの暗号を解読できないだろう」という文章と、広告の一番下にはURLが書かれている。
この広告は、実はVanishing Point(消失点)と呼ばれる最新の大規模プロジェクトの導入部だ。このプロジェクトを手掛けるのは、I Love Bees、The Beast、Last Call Pokerなどの現実とネットの両方で手がかりを探しながら進める代替現実ゲーム(Alternate Reality Game:ARG)を開発した42 Entertainment。
Vanishing Pointは、ARGの要素と従来の懸賞の要素を併せ持つ混合型ゲームだ。実はこのゲームは、Microsoftの「Windows Vista」の販促活動の一環なのだ。Microsoftは人々を引き付けるため、同ゲームの賞品として、最高で高度33万フィート(およそ100km)に達する4人乗り飛行機による弾道飛行旅行(22万ドル相当)を進呈する。飛行中には、数分間の無重力状態も体験できる。Microsoftが同コンテストの製作、運営費として42 Entertainmentにいくら支払うかについては、42 Entertainmentの幹部、Microsoftの双方ともに明らかにしていない。
このVanishing Pointは大きな話題を呼びそうだ。また世界の各都市で、一連の大がかりなイベントが定期的に開催されると見られる。そのイベントの第1弾が、Consumer Electronics Show(CES)の開催期間中の1月8日にラスベガスの高級ホテルBellagioで行われた。そのイベントでは、主催者が同ホテルの有名な噴水から発生する霧をスクリーンに、謎に満ちた長編ビデオを上映した。同ゲームは、Vistaが一般の消費者向けに発売される1月30日前には完結する予定だ。
しかし、CESの開催期間中にそのような派手なオープニングが行われたにも関わらず、一部には、そのゲームとVistaの関連性を記憶に留める人がいるだろうか、との疑問の声が上がっている。
ARG専門のオンラインニュース、コミュニティーサイトARGNetのシニアエディターを務めるJonathan Waite氏は、「私にとっては勝つチャンスさえあれば良く、同コンテストの主催者が誰かについてはさほど興味はない」とし、さらに次のように続けた。「次の大きな疑問は、Vanishing Pointが楽しかったからという理由で人々がVistaを購入するか否かという点だ。私には、同ゲームがVistaの売り上げに大きく寄与するとは思えない」
ゲームの開発者らが投資した時間と費用に対する確かなリターンがあったか否かを測るのは難しいが、恐らく彼らにとってはゲームが大きな話題になるだけで十分だろう。
「(Vanishing Pointにかかる費用は)間違いなく、人々が予想しているよりもはるかに少ない」と語るのは、MicrosoftのWindows Vista担当グループマーケティングマネージャーBrian Marr氏。「Super Bowlの放送中に流すCMの費用がいくらかは知らないが(報道によると2006年は、30秒間のCMで260万ドルだった)、(Vanishing Pointなら)同じ価格で1カ月間のエンターテインメントが楽しめる」(Marr氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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