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“電機のトヨタ”になれるか--攻めに転じた松下、株価の行方は?

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 松下電器産業が1月10日、2010年3月期までの新たな中期経営3カ年計画「GP3計画」を発表した。中村邦夫前社長時代の「利益重視の再建路線」から「売上高の拡大を目指した成長路線」へと大きく舵を切ったとの見方もあり、今後の投資家の判断が同社の株価にも大きな影響を与えることになりそうだ。

 同社が発表した新3カ年中期経営計画の骨子は、2010年3月期にグループ売上高の10兆円(2007年3月期予想8兆9500億円)、ROE(自己資本利益率)の10%(2007年3月期予想4.2%)、連結営業利益率の8%(同5%)達成を柱とするもの。大坪文雄社長は、「デジタルAV」、「カーエレクトロニクス」、「半導体」、「生活家電」の重点4分野に経営資源を集中し、主に海外売上高を積極的に伸ばしていく方針を打ち出している。

 具体的には「約1兆円の売上高増加分のうち7000億円強を海外で稼ぎ出す」(大坪社長)。その海外売上高拡大の原動力となるのは、プラズマテレビを中心とした薄型テレビで、そのプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)を製造する新工場に約2800億円を投資して、兵庫県尼崎市に建設することも合わせて発表した。

 今回の松下電器の新中期経営計画発表について、ある外国証券アナリストは次のように述べている。

 「具体的な売上高の目標を掲げた中期経営計画を明らかにし、これまでの利益重視の再建路線から攻めの経営路線に転じた。しかも、売上高増加分の70%を海外に求める明確な方針も打ち出している。現在、同社の海外売上高比率は48%(2005年度実績)と半分近くに達しているが、営業利益ベースでは国内向け販売が80%、海外向け販売が20%。圧倒的に国内部門で営業利益を稼ぎ出しているのが実情で、海外売り上げの拡大とともにこの現状を打破して利益面での向上も図ろうとしている。この考え方の延長線上にあるのは、海外販売というと欧米が主力だが、将来的にはBRICsやポストBRICs諸国への販売強化につなげようという意図が見て取れる」。

 すでに、トヨタ自動車は海外販売比率が70%を超え、連結売上高も20兆円を上回ってきている。今後、松下電器に課せられた課題は「“電機業界でのトヨタ”になりえるかどうか」にかかっているようだ。

 なお、売却観測が浮上している子会社の日本ビクターについて大坪社長は、「私の考えは明確にあるが、まだ何も決まっていないのでコメントできない」とした。売却を否定しなかったことから、売却の方向であることを示唆したと受け取れる。

 同社の株価は10月16日に2670円の高値をつけて以降調整を強いられ、11月28日には2150円まで下落した。株価はその後やや持ち直し2300円台での推移となっている。今回の中期経営計画の発表は、株式市場ではまだ目立ったプラス評価に結びついていないものの、近く発表される第3四半期(2006年4〜12月)決算で、通期の業績が上方修正されるようなことがあれば、株価も2700円台の奪回に向けて動き出すことになりそうだ。

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