アナログVHF帯の行方をめぐっては2006年9月、かねてから有力視されてきた地上デジタル音声放送(デジタルラジオ)による獲得が事実上の白紙と化したことで、にわかに熱を帯びてきた。
総務省によれば、譲渡の要望は公共事業用ブロードバンド無線、高度道路交通システム(ITS)など150件以上も寄せられており、それらすべてが2007年6月の情報通信審議会・情報通信技術分科会「VHF/UHF帯一部答申」の結果を心待ちにしている。
そうした「空き地争い」の中で、特に激戦が予想されるのがNTTドコモとKDDI。デジタルラジオ端末の発売やメディアFLO(携帯電話向け映像配信サービス)への参加など、放送・通信連携を踏まえて派手な動きを見せてきたKDDIに対し、2006年12月にNTTドコモはフジテレビらと「マルチメディア放送企画 LLC合同会社」を設立。いよいよ本格的に動き出した。
LLCにはフジテレビのほか、伊藤忠商事、ニッポン放送、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが参加。特に注目すべきは、有料放送として圧倒的なコンテンツ力を誇る「スカパー!」の参加だろう。「空き地」を利用した放送・通信連携サービスにおいては「動画配信」がひとつのキーワードとなりそうなだけに、スカパー!のコンテンツ力は欠かせない力となりそうだ。
ドコモ、KDDIを含む各社が6月までにどこまでサービス内容を詰めることができるかが、当面の最注目ポイント。具体性があればあるほど有利な展開が予想され、特にスカパー!がどこまで各サプライヤーをまとめることができるかが、鍵を握る。仮にスポーツ系、アニメ系、音楽情報系などすべてをまとめあげることができれば、圧倒的に有利な戦局を構築することができるだろう。
2007年のポイントは、いずれも携帯電話+テレビ放送を挙げさせてもらった。「YouTube」に対する放送局の姿勢や各局動画配信サイトの伸び悩みを見る限り、PCを含む固定型端末においては「放送・通信融合」が進む可能性は低い。むしろ、放送と通信の両勢力争いは泥沼化するだろう。
一方で、融合を望む利用者は加速的に増え、ネットとモバイルと4マス(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)のメディア力は劇的に変化すると思われる。その進捗状況を如実に表す広告出向量にも注目しておく必要がある。
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