しかし、Lampe-Onnerud氏をはじめとするリチウムイオンバッテリ新興企業の幹部たちは、こうした代替電池のいずれも、リチウムイオンと同等のエネルギー密度や電池寿命は持っておらず、充電が可能な回数も遠くおよばないと主張している。
「リチウムイオンの優位を脅かす現実的な代替物質はないと考えている」(Lampe-Onnerud氏)
Boston-Powerのバッテリは、ソニーや松下電器、Samsungを含む大手のリチウムイオンバッテリとどう違うのだろうか。Lampe-Onnerud氏は、特に大きな変更を加えたわけではないと話している。その代わりBoston-Powerは、種々の特徴を少しずついじって、全体的な安全性とパフォーマンスを改良することに力を入れた。リチウムイオンバッテリの全般的な設計の中で、同社が注目した部分は30箇所におよんだという。
「数千個ものプロトタイプを作製した末、ついに高性能な製品を生み出すことができた」(Lampe-Onnerud氏)
Lampe-Onnerud氏はBoston-Power製品と従来のバッテリの違いについては口を閉ざしているが、特許を調べてみたところ、カソードの化学物質が変わっていることがわかった。従来品のカソードでは、リチウムコバルト酸化物が用いられている。Lampe-Onnerud氏が2005年7月に取得した特許の内容から推察するに、同社はこれをリチウムニッケル系の物質と交換したようだ。
2005年2月に承認された2つ目の特許からも、別の事実が浮かび上がっている。とはいえ、同社の特許が将来的に製品化される可能性はあるものの、関連性が存在するとは必ずしも言い切れないし、申請後の承認手続きが完了していない特許もいくつかある。
製品に関しては知られていない部分も多々残っているが、同社の存在と経営に関わっている人々の名は、エレクトロニクス業界ではそれなりに有名だ。そもそもLampe-Onnerud氏は、初代「Palm/Pilot」のバッテリ開発に携わっていた。その後はBell Labsに移籍し、コンサルティング企業Arthur Littleのエネルギー利用部門でパートナーを務めた経験もある。IntelおよびAppleにも投資しているベンチャー企業のVenrock Associatesが、Boston-Powerに資金を提供している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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