映像圧縮、再生技術の「DivX」がついに、米国で急速に普及し始めた。
同技術と同じ社名のDivXの最高経営責任者(CEO)、Jordan Greenhall氏によると、第1四半期には米国で流通するDVDのおよそ5%にしかDivX技術が使われていなかったが、第3四半期にはおよそ20%にまで急増したという。
Greenhall氏は、2007年1月にラスベガスで開催される毎年恒例のConsumer Electronics Show(CES)に先駆けて今週開かれた会議で、米国でDivX対応プレーヤーが不足しているのは、大抵は単に慣性の問題であり、同技術を米国市場から遠ざけておくための陰謀の一環ではない、と語った。「カナダでは入手可能なプレーヤーが米国では入手できない。そのため、DivXの謀略という説がある」(同氏)
メーカーは、消費者の需要があると分かるまで自社製品に新たな技術を導入したがらない。しかし、消費者の需要が高まりだせば、各メーカーも反応し始める。
DivXは、各メーカーがDVDプレーヤーに同社のソフトウェアを搭載する度に、1台当たり1〜2ドルのライセンス料を徴収する。これまで同社は、米国よりも欧州やアジアにより力を入れてきた。
DivXは基本的に、DivXソフトウェアを使ってエンコードされた映像の視聴を可能にするソフトウェアを販売している。数年前、一部の消費者が同社のソフトウェアを著作権侵害の手段として利用したため、同社は映画会社から非難されていた。そこで同社は2、3年前から、より積極的にデジタル著作権管理(DRM)をサポートし始め、現在は複数のエンターテインメント企業と提携している。
DivXの企業としての社会的地位向上の兆しが見えたのは、DivX が2006年に行った新規株式公開(IPO)の時だ。同社の株式は9月に1株当たり16ドルで売り出されたが、現在の売値は28ドルを越えている(DivXは当初、1株当たり12〜14ドルで売り出す予定だった)。
DivXはCESで何について語るのか。同社は、高品位(HD)テレビ事業にも進出したいと考えている。Blu-ray DiscプレーヤーやHD DVDプレーヤーは、インドや東欧では高価すぎる。そこで、Greenhall氏によると、同社は今後の目標として、インドの映画会社の幹部や、それらの国々の映画プロデューサーと契約を結び、HD版DivXを導入してもらうことを目指すという。
「DivX HDコンテンツの供給は、不可避となるだろう」(Greenhall氏)
カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置くDivXはさらに、CESで、同社が運営する映像サイトStage 6のプロモーションを行う予定だ。同サイトには、有名無名を問わずプロの映画監督が自作映画を投稿している。同サイトは主に、さほど知名度の高くないアーティストを呼び込もうとしている。
Greenhall氏は、「われわれがこのサービスを行っているには、才能の発掘が目的だ」と述べ、さらに「仮に過去10年間、ハリウッドでポストプロダクションに携わってきたとしたら、多くの面白い素材を持っているはずだ。映像業界で生活している人々の数はかなり多い」と語った。
ただ唯一、近い将来実現の見込みがないのが、米国の映画会社との契約だ。同社は2004年末に大手映画会社数社と交渉中であると発表したが、結局契約には至らなかった。
「ややがっかりした。われわれは契約がまとまると考えていた」(Greenhall氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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