電気通信事業協会は12月7日、11月末時点の携帯電話・PHSの契約者数を発表した。
これによると、10月24日からスタートしたモバイル・ナンバー・ポータビリティ(MNP=携帯電話の番号持ち運び)制度がスタートして1カ月間で、KDDIの純増数(新規契約数から解約数を引いたもの)が32万4900件と10月の20万6000件を上回り、純増数では4カ月連続でトップとなった。その一方でNTTドコモは1万7500件の純減で、同社が1993年に携帯電話を本格展開し始めてから初の月間契約数の純減という事態に見舞われた。
各社の契約数を合計した携帯電話全体は、37万6100件増の9445万3700件。ドコモのシェアは0.2ポイントダウンし、55.2%となった。これに対し、KDDIのシェアは、0.2ポイントアップの28.5%。第3世代サービスの「au」に限ると、47万9600件増の2531万8500件となり、初めて契約数が2500万件を突破。ソフトバンクモバイルも6万8700件増の1539万9500件と純増となったものの、シェアは前月と同じ16.3%だった。
番号継続制の利用による契約者の移動では、ドコモが約16万件の純減。これに対し、auは22万5300件の純増となった。ソフトバンクも5万3900件の純減で、auが強さをみせつけた。
こうした、KDDIの独り勝ちが表面化するのに先立って、メリルリンチ日本証券は11月28日付のリポートでKDDIについて、投資判断を3段階の真ん中の「中立」から最上位の「買い」に引き上げると同時に、目標株価を93万円(12月8日終値77万7000円)としている。
メリルリンチのリポートによると「MNP導入後1カ月の加入増は我々の従来予想をやや上回って推移している。だが、他社も決定的な痛みを感じてはおらず、MNPの影響は各社の許容範囲内に着地しつつある。底堅い加入者数増加と価格競争懸念の後退により、移動体通信事業のメリルリンチ業績予想は上方修正となった。FTTH本格展開による固定通信事業の営業赤字は前期を超える650億円と見込んでも、来期連結営業利益予想は約4200億円となり、現在の市場コンセンサス(約3800億円)は低すぎると判断される。来期は大幅に史上最高益を更新するだろう」としている。
KDDIの9月中間期の連結決算の経常利益は2294億円(前年同期比38%増)となった。しかし、2007年3月期通期の連結経常利益については、従来予想の3180億円(前期比7%増)を据え置いている。不透明要因とされてきたMNPの導入に伴う動きがこれまでのところ同社にとってプラスに作用していることから、通期の経常利益が大幅に上方修正される可能性が濃厚になってきたと言える。
KDDIの株価は9月中間決算の発表前の10月11日に年初来高値の81万9000円を付けて以降、反落し10月30日には70万5000円の安値をつけた。その後、反発トレンドに転換し、現在は80万円近い水準で推移している。しかも、先週末8日終値現在での今期連結予想PERは18.4倍と割高感はなく、通期の経常利益大幅増額修正が濃厚となってきたことからも、市場関係者の間では「来年3月までの株価100万円台乗せに期待するムードが高まってきた」とされている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」