日本進出が決まった中国最大の検索サービス「百度」の実態 - (page 2)

永井美智子( 編集部) 西田隆一(編集部)2006年12月06日 01時17分

--先ほど、中国の検索市場の成熟や教育についておっしゃっていましたが、実際にバイドゥを使っているユーザー数はどのぐらいでしょうか。それは中国だけですか。それとも世界中の中華系の方が使っているのでしょうか。

 2006年7月に調べた結果は、中国のインターネットユーザーが1億2000万人います。そのうち90%以上がバイドゥのユーザーですので、ほとんどがバイドゥを利用していると考えています。またユーザーの10%は中国国外からということです。

--典型的な中国での検索エンジンの使い方はどうなのでしょう。何か特徴的な使い方やおもしろい使い方をされていませんか。あるいは、おもしろい機能を提供しているといったことはありますか。

 基本的な使い方は、ほかの国の方と大きく変わらないと思いますが、特徴的な例で言うと、中国のユーザーはポップアップウインドウを好む傾向があるのと、関連用語の提案などもよく参考にして活用しています。

 コミュニティーのサービスですと、検索の結果が表示された場所に別のボックスで、その検索した言葉に対して、ほかの関連した話題の提案や質問などのメッセージが表示される掲示板のようなものが出ます。そこで、ほかのユーザーから挙がっている質問に対して回答するといったことができます。どんな言葉を入力しても、それに対して必ずメッセージが出てくるのを見られるのが特徴です。

--メッセージボードが表示されるようになっているということは、よりコミュニティー志向の検索エンジンを考えているということでしょうか。

 まさにコミュニティー的な方向に向かっていると言えます。Wikipediaのような百科事典の機能も持っていて、コミュニティーを構築することがユーザー離れを防ぐことにつながっています。そのコミュニティーがメディアとしての価値を高めれば、依存度が高まりますのでユーザー離れを防ぐことができます。

--単に検索するユーザーだけではなく、質問に答えたりする登録ユーザーも結構いらっしゃるのですか。

 残念ですが、その数はまだ開示していません。

--以前にニュースになっていましたが、音楽(MP3ファイル)検索で、2005年に一部楽曲の検索については著作権に対する違法性があるという裁判所の判断があったようですが、そういう著作権に違反するようなファイルやコンテンツを検索することについて、どのようなスタンスで運営されているのでしょうか。

 バイドゥは純粋な検索エンジンであって、単に検索結果にリンクがついているだけです。バイドゥとしてはそういった音楽などを提供している側ではないので、特に障害になるようなことはまだないと思います。私どもは著作権を尊重しておりますので、違法なリンクなどについて連絡や通知があった場合にはただちに削除しております。

--特に何か裁判所から勧告されているわけではないのですか。2005年には、たしかそういう違法サイトやコンテンツを助長するような情報提供の仕方をしているような指摘を受けた話があったように聞きましたが。

 たしかにレコード会社からそういった(訴えられた)事実はありますが、その実態は先ほど説明をした純粋な検索エンジンであるということで、裁判ではバイドゥが勝ちました。レコード会社側とは既に協力していて、レコード会社の広告を表示することで利益を分配するかたちをとっています。中国のデジタル音楽はまだ発展段階にありますので、そこでは広告のモデルが有効だと考えています。

-バイドゥの収益はやはり広告ビジネスですか。それ以外にもし何かあれば教えてください。

 8割から9割が広告です。検索された言葉に関連した広告を表示しています。そのほかには、イントラネットなどの企業向けサービスを提供していましたが、これは2006年7月に終了しましたが収益としてはまだ残っています。

--今後、海外に進出する可能性はありますか。また、現在提供しているサービスは中国語以外のコンテンツも検索できますか。

会長兼CEOのRobin Li氏

 もちろん、国外にも進出したいと考えています。私は、特に日本に関心があります。現段階では中国語以外に主要な英語のサイトは検索結果として表示されるようになっていますが、すべてではないのでそこを強化していきます。

 そして、日本市場に進出する際には、もちろん日本語にマッチしたシステムを開発する考えです。日本のユーザーの方にも検索エンジンの選択肢を広げるということで提供したいと思っています。

--携帯電話向けのサービスは手がけていますか。

 携帯電話でも検索サービスを提供しており、まだまだこれから伸びていく段階なので、いろいろと調査しています。日本の豊富な携帯電話を通じた検索サービスからも学ぶことは多いでしょう。

--ゆくゆくはGoogleを倒したいというような野望をお持ちですか。中国ではもう既に大丈夫だと。

 世界中で少しでも多くの方に利用してもらいたいという願望はもちろんありますし、バイドゥはユーザーの求めているもの、最適なものを提供するという優れた技術を持っているので、これを世界中の多くのユーザーに提供したいと思っています。とは言っても、数十カ国語で一斉に展開するのは難しいので、その国の言語に合わせてひとつずつ攻めていくことになると思います。

--今後もやはり検索のサービスを核にして展開していきますか。それともGoogleのように検索を核にしつつ、いろいろなサービスやプロダクトも手がけていきますか。例えば、Googleは表計算やワードプロセッサーなどのソフトウェアをオンラインで配信しています。

 ウェブ検索を核にしていきますが、画像やニュース検索などもサービスとして強化していきます。収益率がウェブ検索の水準ほどなくても、それはユーザーが求めているサービスは提供していく考えがあります。ソフトウェアのようなサービスに関してはそれなりにやると思いますが、検索に関連した企業に特化するという点は変わりがありません。

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