米司法省の独占禁止部門は、業界内における独占禁止法違反行為の可能性に対する捜査の一環として、Advanced Micro Devices(AMD)とNvidiaの2社に召喚状を送付した。
AMDは米国時間11月30日午後、司法省から召喚状を受け取ったと発表した。またNvidiaも12月1日朝、同様の発表を行った。しかし、今のところ、どちらの企業についても特定の疑惑は浮上していない。
AMDとNvidiaは、司法省の捜査に協力する意向を示した。
司法省の広報担当者Gina Talamona氏によると、同省は「グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)とグラフィックスカード」業界内における反競争的な慣行の可能性について捜査しているという。Talamona氏は、捜査対象となっている特定の企業や今回の召喚の目的についてはコメントを避けた。
また、これまでのところ、Intelの統合グラフィックス事業は捜査対象から外れているようだ。Intelは、同社のチップセットとともに販売している統合グラフィックスチップのおかげで、今やPCグラフィックス技術サプライヤーの世界最大手となっている。Intelの関係者によると、同社は司法省から捜査に関する召喚状は受け取っていないという。
AMDは、マイクロプロセッサメーカーとして最もよく知られるが、10月にNvidiaのライバルであるATI Technologiesを54億ドルで買収し、グラフィックスプロセッサ業界に参入した。その数週間後、NvidiaはハイエンドPC向け新型グラフィックカード「GeForce」 8800を発表した。
アナリストらは、司法省の捜査理由について判断しかねている。司法省は最近、メモリ業界内の反競争的慣行について捜査した。しかし、アドイングラフィックス技術市場は、メモリ業界とは異なり、主要プレーヤーはわずか2社だけだ。市場調査会社Mercury Researchのアナリスト、Dean McCarron 氏によると、これまでNvidiaとATI(現在はAMDの傘下)の2社は、常に、業界標準化団体内以外では協力することのない熾烈なライバル関係にあると考えられてきたという。
調査会社 Jon Peddie Research(JPR)で長年グラフィックス業界を見続けてきたJon Peddie氏によると、同氏はこれまでNvidia やATIの顧客から、価格つり上げなどの反競争的行為に関する苦情を聞いたことはないという。また同氏によると、各社が販売している同水準の性能のグラフィックカードは、通常価格もほぼ同じだという。これこそが価格つり上げである、との印象を与える可能性もあるが、この現象は、サプライヤーが2社しか存在しない業界の特質を強く反映している、とPeddie氏は指摘する。
司法省は2004年と2005年に、DRAM業界の起訴に成功した。1990年代末から2000年代初頭にかけて、同業界が共謀して価格を吊り上げた容疑だ。その結果、一部の企業幹部には禁固刑が言い渡され、InfineonやHynixなどの企業は高額の罰金を支払っている。さらに最近では、SRAM業界も捜査しており、ソニー、サムスン、三菱電機などの企業を調べてきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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