Linuxが携帯電話市場の席捲に向けてまた新たな一歩を踏み出したかもしれない。ノルウェーに本拠を置くオープンソース企業のTrolltechは現地時間11月28日、新しい取り組みとして「Qtopia Greensuite」を発表した。
Trolltechはプログラム可能なLinux対応携帯電話「Greenphone」を2006年にリリースしたのに続き、携帯電話メーカーおよび開発者に対して、OSやアプリケーションを含む「追加設定不要の手軽な」ソフトウェアスイートを提供することになる。これはSymbianやWindows Mobileにおける手法と同様だ。
GreensuiteはLinuxベースの携帯電話に対応した同社のアプリケーション開発プラットフォーム「Qtopia Phone Edition」をベースとしている。低価格のコンシューマー向け携帯電話にLinuxを組み込みやすくするのが狙いだ。
「パートナー企業での選択肢を多少犠牲にすることで、顧客のために市場投入にかかるコストと時間のリスクを減らそうというものだ」と、Trolltechの製品ディレクターAdam Lawson氏はZDNet UKの取材に対して語り、また同スイートはTrolltechの多くの「次席レベルの」顧客からの要望に応えたものだとも述べている。
GreensuiteはGNU General Public License(GPL)のもとでの無料配布とはならない。「Opera」ブラウザや「Zi Input」ソフトウェアといった、Trolltechのパートナー企業からの専有コードが含まれるためだ。Lawson氏はGreensuiteについて「携帯電話市場でのLinuxの細分化を避ける、もしくは減らす」ものだと説明した。また、Linuxの開発者がこれまで頻繁に直面してきた、複数のソフトウェア企業との対処にかかる手間を省き、より簡単なライセンスモデルを提供するものだとも語った。
「これは素晴らしいニュースだ。Linux分野にこうした確実性を提供してくれるベンダーが現れたのは、歓迎すべき傾向だ」と語ったのはリサーチ会社Freeform DynamicsのアナリストDale Vile氏だ。
企業向け分野ではまだ関心を示すところはほどんどないものの、Linuxベースのコンシューマー向け携帯電話に着目する携帯電話会社は増えつつあると、Vile氏は説明した。Trolltechの共同創設者Haavard Nord氏は以前に、Linuxをベースとするモバイル端末市場で最も大きく成長するのは、ミッドレンジの「高機能電話」だろうと指摘している。
「この推測が正しいことは、コンシューマー市場が、企業向け市場よりもはるかに多くのソリューションプロバイダーのターゲットになっていることからもわかる。だからこそ、開発が容易で、手のかかるサポートを多く必要としない、良質で堅牢なプラットフォームを確実に提供することがますます重要になる」と、Vile氏は語る。
Trolltechはまた、日本のメーカー、NECエレクトロニクスとの提携を同日発表した。NECエレクトロニクスは同社の3G携帯電話向け半導体ソリューション「Medity」にGreensuiteを移植する予定だ。Trolltechの「Qtopia Core」(旧称Qt/Embedded)のソフトウェアはすでに極東地域のMotorola製携帯電話に利用されている。
「プラットフォームという観点からすれば、アジア市場で生まれた流れがヨーロッパの流れになる事例が多々ある」ため、これらの提携は西側諸国にとって重要だと、Vile氏は語った。
TrolltechはGreensuiteのリリースを2007年第2四半期としている。GPLのもとで配布される、Qtopiaの今後のエディションに関しても近いうちに発表が予定されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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