好業績カカクコムが下落トレンドに終止符

 ネット関連広告業界各社の業績がやや減速傾向にある中、価格比較サイト大手のカカクコムの収益が順調な成長を見せている。株価面でも反転上昇の兆しを鮮明にし始めた。

 同社は2007年3月期通期の業績見通しを据え置いているものの、9月中間期連結決算は好調に推移。現在のトレンドが継続されれば、増額修正される可能性が濃厚になっている。今後は株価もそれを徐々に織り込み、中期的には40万円台乗せに向かう期待が持てそうだ。

 カカクコムが11月14日に発表した2007年3月期9月中間期の連結決算は、売上高22億8400万円(前年同期比2.1倍増)、営業利益6億1500万円(同2.3倍増)、経常利益6億1500万円(同2.4倍増)、純利益3億1800万円(同2.7倍増)と非常に好調な推移となった。

 インターネット広告市場全般にやや減速傾向が見られる中で、主力の広告売り上げが前四半期比でも71.5%増と力強い成長力を堅持していることが際立つ。業界全体のマクロ環境の逆風に左右されない、同社の価格比較サイトのトップブランドとしての強さを発揮していると言える。

 9月中間期の連結決算について部門別の状況を見ると、集客サポート業務では同社が運営する「価格.com」への登録店舗数の増加や2006年3月から導入した従量型料金体系への変更などにより、出店料収入が順調に推移したことから前年同期比2.3倍増の3億6300万円となった。さらに、主力の広告業務は、登録店舗数の増加に加え、新規クライアントの獲得、パソコンメーカー、家電メーカーなどを中心としたクライアントからの広告出稿などが順調に推移し、売上高は前年同期比94%増の6億6900万円となった。

 販売サポート業務では、通信関連でFTTH、ADSLなどブロードバンド加入者数の増加により、同社経由の加入者数が順調に推移。パソコンメーカーなどのインターネット販売サイトの誘導も堅調だったことから、売上高は前年同期比2.3倍増の7億5000万円となった。

 一方、情報提供業務では自動車保険、中古車査定などの一括見積りサービスなどの依頼件数は横ばいで推移したものの、報酬単価は下落傾向にある。また、マネー関連コンテンツについては、取扱商品の拡大によるクライアントの増加やローンカテゴリーのリニューアルなどにより収益基盤こそ拡大したが、株式相場の低迷の影響などで資料請求の件数は横ばいにとどまった。

 旅行関連業務は旅行関連のクチコミサイト「フォートラベル」や同社運営の直前宿泊サイト「yoyaQ.com」の運営が主力となっているが、順調な集客力の向上でクライアント数や広告収入、手数料収入が堅調。売上高は前年同期比2.8倍増の1億8100万円と飛躍的な成長を遂げた。

 こうした中間期の好調な決算にもかかわらず、会社側は2007年3月期通期の業績予想を売上高50億円(前期比71%増)、経常利益16億円(同2.1倍増)、純利益9億円(同2.2倍増)に据え置いている。しかし、10月下旬から導入されたMNP(携帯電話の番号持ち運び制度)の導入に向けて8月に「携帯電話比較サービス」カテゴリを全面リニューアル。9月には「ショッピングサーチ」カテゴリをスタートするなど、今後もショッピングメディアとしての価値を高める取り組みを実施していることなどから、通期の業績が上方修正される可能性が高まっている。

 同社の株価は2006年の大発会(1月4日)に59万8000円の年初来高値を付けて以来、ほぼ一貫して下落トレンドを強いられた。一時、30万円を割り込む場面もあったものの、9月下旬以降ようやく反転上昇の兆しを見せ始めている。

 今後の同社の株価見通しについて外国証券のアナリストは「新興市場のネット関連銘柄を中心に依然として予断が許されない株価推移が続いているものの、株価の基本は業績にあるという原点に立てば、東証一部上場という利点もあり、カカクコムはIT・ネット関連銘柄の反転上昇相場のリード役としての期待が高まりそうだ」としている。

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