サンフランシスコ発--米国時間11月17日午前零時に発売になるソニーの「PLAYSTATION 3」(PS3)を求めて、ソニーの複合エンターテインメント施設Metreon内のSonyStyleストア前には長蛇の列ができた。待望のゲーム機を手に入れようと待ちかまえる彼らの目には、ドルマークがまたたいているかのようだった。
筋金入りのゲーマーたちが、よだれを垂らして箱にむしゃぶりつき、引き裂くように箱を開けて延々とゲームに興じる姿を思い描いていたわたしの予想を裏切り、目についたのは商魂たくましい若者たちだった。
PS3の小売価格は、ハードディスクの容量20Gバイト版で499ドル、60Gバイト版でも599ドルだ。ところが、列に並んでいる人たちからは、eBayやCraigslistでオークションに出すか、家族や友人に転売すれば1台1000ドルから3000ドルになるだろうとの皮算用が聞かれた。確かに、それだけのもうけが手に入る可能性なら、次世代ゲーム機を米国で最初に手にした者の1人になる名誉よりも魅力で勝る。
「これなら時給制の仕事をするより割がいい。稼ぎは最低賃金を上回る」と、Stanさん(19歳)は言う。
すぐに家に戻り、購入したPS3を最高値を付けた入札者に売る予定だというStanさんは、わたしが話をした行列に並ぶ人の多くと同じく、姓を明かさなかった。Stanさんとその友人たちは、フード付きスウェットシャツと野球帽に身を包み、列に並ぶ間、トランプ遊びで暇をつぶしていた。Stanさんによれば、eBayは、これまでに少なくとも50回以上同社のオークションで品物を販売し、98点以上の評価を獲得している人にしかPS3の販売を許可していないという話なので、自分にとってはCraigslistが一番の選択肢だという。
ソニーに取材したところ、16日の午前6時半の段階で、同社調べでは750人が列に並んでいたという話だ。行列が正式に始まったのは16日の午前8時だが、ソニーによると、最初の一団が現れたのは15日の午前8時だったという。
列に並んだ集団は、若い男性が大半を占め、つば付きの帽子やベレー帽、スウェットシャツとぶかぶかの上着といういでたちで、湿気と寒さから身を守っていた。なかにはビーズ入りのクッションチェアや折りたたみいす、寝袋を歩道に広げ、次第に暗くなる空を不安げに見上げる者もいる。最初の列はMetreon沿いに4番通りを南へ下り、ハワード通りを東に折れたあたりまで続いた。2番手の一団は、SonyStyle店の入り口正面から伸びる細道のミナ通りに列を作っている。
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