Hewlett-Packard(HP)は米国時間11月7日、管理ソフトウェア企業Mercury Interactiveの買収を完了したと発表した。これにより同社では、生まれ変わった「HP Software」スイートを武器に、IBMのソフトウェア製品を迎え撃つ準備が整ったことになる。
HPは2年前に、新たな製品をリリースし、サードパーティーソフトウェア企業を対象としたパートナープログラムを拡大するなどして、ソフトウェア市場における存在感を強めた。現在は、45億ドルに上るMercuryの買収を経て、ソフトウェア戦略の刷新に努めているところだ。今回の買収により、HPはMercuryのアプリケーション開発管理技術を手に入れ、自社の管理スイート「OpenView」や、データセンター向けのネットワーク管理製品を強化することが可能になった。
OpenView製品担当バイスプレジデントDeborah Traub氏によると、HPはOpenView製品の詳細および買収完了後の戦略について、オーストリアのウィーンで12月に開催するカンファレンス「HP Software Universe」で明らかにする予定だという。
Traub氏や、Mercuryのアプリケーションおよび製品開発シニアバイスプレジデントYuval Scarlat氏は、OpenViewとMercury製品ラインの間には重複がほとんどないので、統合作業も比較的少なくて済むと口をそろえた。またHPの幹部は、OpenViewなどの主要ブランドは今後も存続される予定だとも述べている。これらのブランドは、HP Software傘下に属することになる。
HPがソフトウェアラインアップを刷新するための地ならしをしている間を利用して、IBMもさまざまな取り組みを進めてきた。
IBMは7日、HPから同社への移行を促進するプログラムを公表している。同プログラムは、MercuryおよびOpenViewのユーザーがHPからIBMへ乗り換えた場合、「Rational」および「Tivoli」ソフトウェアを最大25%ディスカウントするというもの。
MercuryのScarlat氏は、「無理もないことだが、IBMは(われわれの合併を)相当気にしている」と語った。
もっとも、ソフトウェアに関するHPの取り組みは、必ずしも順調に進んできたとはいえない。例えば2002年、4億7000万ドルを投じてBluestone Softwareを買収したにもかかわらず、HPはEコマースソフトウェア市場への参入を断念している。
HPのTraub氏は、45億ドルをつぎ込んでMercuryを取得したことからも明らかなように、HPにとってソフトウェア製品は大きな戦略的重要性を持つものだと主張した。買収を成功に導くには、両社製品の相性を見極めることより、完全な融合を図ることが大事だという。
HPにおけるソフトウェア関連の取り組みには、HP Labsも参加している。そのHP Labsは7日、エンタープライズアプリケーション大手のSAPと共同研究で提携を結んだことを発表した。新たなプロジェクト「Adaptive SAP」の下、両社はそれぞれのハードウェアおよびソフトウェアを連係させ、可能なかぎり効率性を高めるとともに、顧客のワークロードや、顧客のビジネスプロセスにおける変化に柔軟に対応できるようにしていくという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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