SOAが業界に協調をもたらす--ミドルウェアが切り開く運用性

文:Marge Breya
翻訳校正:吉井美有
2006年11月01日 20時06分
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 これまで10〜15年にわたって、われわれユーザーはエンタープライズソフトウェア市場におけるベンダー間の中傷合戦に付き合わされてきた。

 その間、悪口やあからさまな誇張、「リーク」された社内メモ、挑発的な利益予想、「草の根」ユーザーグループの喧騒、さまざまなばかげた報復行為などを見せられてきた。

 顧客はこうしたから騒ぎの中で戸惑っている。ビジネスの現場で起こっている実際の問題を解決してくれる本物のテクノロジを業界に期待しているのだ。顧客は現在使用しているシステムを利用し、最高のビジネスプロセスと知的資産を活かして、事業環境の変化に応じて進化するソリューションを求めている。

 また、顧客が求めているのは華やかな機能などではなく地に足の付いたソリューションである。そんなときに自社のソリューションだけにこだわる姿勢では、顧客を遠ざけるだけで、事業目標を高めることはできない。これでは、われわれ各ミドルウェアベンダーは、さまざまなソリューションを組み合わせて顧客の要求に最善の形で応える機会を奪われてしまう。

 中傷合戦は、分極化した古くさい業界の体質を反映している。そこでは、プラットフォームやアプリケーションスイート、データベースなどのベンダーのサイロそれぞれにソリューションが分割されてしまっている。これと同じことは前にも起こったことがある。OSのAPIをめぐって繰り広げられた戦いを思い出してもらいたい。

 業界を代表する大手企業が、外部とのやりとりを遮断した城塞都市のごとき自社のソフトウェアスタック上にあぐらをかき、互いに相手を批判し合っている、そんな図をありありと思い浮かべることができる。

 こうした城塞都市を攻め落とすアーキテクチャが、サービス指向アーキテクチャ(SOA)だとわれわれは考えている。われわれミドルウェアベンダーは、敵対するプラットフォーム、標準、業界同業者間の仲介役となることが多い。

 一企業としてまた業界の代表として、われわれは1社のソリューションに固執し、一部の専門家に「技術革新は問題ではない」などと言わしめてはならない。結局、顧客が抱える問題を解決するのは巧みな言葉ではなくイノベーションなのである。

 日々変化する事業環境には、時代に対応できる柔軟性を備えたビジネスソリューションが必要だ。業界は、顧客に最高のテクノロジ以上の何かを提供しなければならない。この義務は他の何よりも優先されるべきであり、この義務を遂行することによってわれわれの業界は協調関係を築くことができる。

 顧客にとって、最も革新的で価値のあるビジネスソリューションを実現するには、ITインフラにおける柔軟性を高め、複雑さを軽減することが不可欠だ。顧客は、この両方の利点を実現するためにSOAを受け入れているようだ。これにより、既存または新規の収入源の開拓、顧客の維持と獲得、新規の製品またはサービスの開発に注力することができる。自社のIT資産を特定ベンダー固有のサイロから解放することで、SOAのユーザーは、変化に対応し、迅速なビジネス上の意志決定を行うことができる。

 業界はようやくSOAに実質的な意義を与えるようになった。これは「ミドルへのシフト」と呼べるだろう。企業がエンタープライズソフトウェアスイートの機能に合わせる時代は終わった。開拓時代の入植者たちが限られた土地を奪い合ったように、開発者が先を争ってOSにアプリケーションを提供する時代も終わった。

 現在、ベンダー各社は、自社の市販ソフトウェアをSOAモデルに組み込み、Webサービスに変換する作業を進めている。Webサービスを利用することで、さまざまなプラットフォームやデバイスを使用した多様な顧客のビジネスニーズに合わせて容易に自社サービスを実装できる。

 これで業界のから騒ぎもなくなるだろう。ソリューションがコンテンツストリームとサービスという形に単純化されれば、他の市販ソフトウェアベンダーと争うのはまったく無意味になるからだ。SOAは、顧客とパートナー、個人開発者を、特定のベンダー、プラットフォーム、アプリケーション、データベースに縛り付けようとする企業への対抗手段になるのだ。

 もちろん、革新的なアイデアによって繁栄する競争の激しい業界が複数のグループに分かれて敵対するのは自然なことだ。しかし、歴史を振り返ってみると、革新的な企業や大手企業、業界の大物が顧客からの啓示を受け、テクノロジがどこに向かっているのかを悟ったときに、IT業界は大きな進歩を遂げてきた。IT業界が持続的に実りある成長を遂げるには、SOAのような先進的テクノロジに協力して取り組み、革新的な製品がユーザーの仕事に生かされるようにする必要がある。

 われわれベンダーは協力できないものだろうか。

 最後には、ユーザーがそれを望むだろう。ユーザー第一。これは孫子の教えにも増して永遠に変わることのない現実である。

著者紹介
Marge Brey
BEA Systemsのシニアバイスプレジデント兼最高マーケティング責任者。

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