ギリシャ・アテネ発--国連幹部は現地時間10月30日、米国がオンライン上で無比の影響力と権限の維持が認められているのは米国の「自分勝手な正当化」によるものだとして、インターネットの運用方法の変更を求めた。
当地で4日間にわたって開催される国連サミットの開会式において、国連の専門機関の1つである国際電気通信連合(ITU)で事務総局長を務める内海善雄氏がスピーチを行った。スピーチのなかで同氏は、ドメイン名およびインターネットアドレスの管理に関する現行のルールについて批判し、米国よりも貧しい他の国々は不満を抱いており、今回のサミットによって米国の影響力が弱まることを期待していると述べた。
「『あなたたちには何も分かっていない』というセリフを多くの人が聞き飽きている。多くの人が状況をよく理解している。米国が、技術の専門家たちに最高のシステムであるといくら主張させたとしても、あるいは他に有効な手立てはないと自分たちに都合のいい主張を繰り返したとしても、永久に最高だと言い切れる制度や技術など存在しない」(内海氏)
ただし、人権擁護団体では、現行の制度を最も強く批判している国の多くは、チュニジアやキューバ、イラン、中国など、世界で最も抑圧的とされている政府だと警告している。もしそれら政府に独自の方法をとることを認めてしまった場合、現在は事実上制限されていないインターネット上の表現の自由が、やがて失われてしまうのではないかと警戒している。
パリを本拠地とする言論の自由を擁護する団体「国境なき記者団」は先週、こうした改革案を「憂慮すべき」だと主張し、次のように訴えかけた。「われわれは、インターネットを検閲し、ネット上で反体制を訴える人々を逮捕しているような国の政府にオンラインによる情報の流れを、委ねてしまって本当にいいのだろうか」
同様に、Amnesty Internationalは、Internet Governance Forum(IGF)に代表を派遣し、言論の自由を守ることの必要性を訴えた。「IGFは、オンラインコミュニティーがオンライン上の表現の自由について憂慮し、立ち上がる意思があることを知るべきだ」とAmnesty代表団の1人であるSteve Ballinger氏は述べた。
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