ジョンズ・ホプキンス大学を最近卒業した3人の若者があるセンサーシステムを考案した。これを使えば、視覚障害者でもバスケットボールができるようになる。
これらの若者が設計したのは、バックボードの後ろに取り付ける音響発信装置。この装置が発信する低いパルス音を手がかりに、プレイヤーがゴールの位置を特定する仕組みとなっている。また、標準的なバスケットのボールに埋め込まれた小型の音響発信装置(ボタンくらいの大きさの3ボルトのバッテリで動作する)が、高い音を継続的に発信して、プレイヤーにボールのありかを知らせる。バックボードの後ろに取り付けられた音響発信装置はリモコンでオン/オフを切り替えられる。
「過去にもこうした仕組みを実現する試みはあったものの、たいていはバウンドや重さの点でうまくいかなかった。今回の目標は、発信装置のサイズと重量を許容範囲内に収めることだった」と、Blind Industries and Services of MarylandのMike Bullis(ビジネスサービス開発マネージャ)は述べている。「この種のレクリエーションの機会を持たない目の見えない子供がいっぱいいる」(Bullis)
Bullisによると、現状のプロトタイプには未解決の問題がいくつか存在するという。そういう同氏も実は目が見えないが、先ごろ行ったデモではこのボールを使ってシュートを決めてみせた。バスケットボールに組み込まれた音響発生装置の出す音のピッチは、選手が快適にプレイできるよう低く抑える必要があった。また、音の反響を抑えてシューターが勘違いしないようにすることも必要だったと、同氏は説明した。Bullisはさらに、スポーツ用品メーカーに連絡を取り、この装置を利用したバスケットボールやサッカーボール、その他の装置の開発に関心があるかどうかを確かめるつもりだと付け加えた。
このプロジェクトは、2学期にわたる機械工学の授業から生まれたものだ。Alissa BurkholderとAshanna Randallという2人の学生は、同大学の女子バスケットボールチームで活躍していた。もう1人はSteve Garberという学生だ。彼らはみな、今月はじめに同大学を卒業した。
この装置を開発する上での技術的な課題の1つは、バスケットボールのなかにどう音声発生器を組み込めばいいかということだった。3人の学生は、スポーツ用品メーカーのSpaldingがつくる「Infusion」というブランドのボールには、ポンプを組み込んだ小型の内部シリンダーが備わっていることに目をつけた。多くのバスケットボールの場合、特定の箇所にポンプの針を刺して、そこから空気を送り込むが、Infusionのボールでは、そこからポンプがスライドして出てくる。このシリンダは注射器のピストンに似た形をしている。
3人の学生は、いくつかのバスケットボール切り開いて、シリンダーがどのように機能しているかを確かめた。さらに、Spaldingにも連絡をとったが、同社はシリンダーのつかないInfusionのボールを5つ提供した。こうした調査から、シリンダーの空洞には、バッテリと音声発生器を含んだチューブを組み込むのに十分な大きさがあることがわかったという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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