NTTインフラネット、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、古河電気工業の3社は10月25日、地上デジタル放送信号を光ファイバと無線中継システムを用いてシームレスに伝送できる中継・配信システムの実用化に向けた実験に成功したと発表した。
今回の実験は、総務省が全国へのブロードバンドの普及を目標としていることと、地上アナログ放送が地上デジタル放送に切り替わることなどを受けたもの。これらの通信手段として光ファイバが注目されているものの、山間部や離島などは光ファイバの敷設が難しいことから、無線で中継する方式の実験を行った。
実験は、岐阜県防災交流センターで受信した地上デジタル放送信号を、「岐阜情報スーパーハイウェイ」を用いて約130km(光ファイバ距離)離れた下呂市まで光信号で伝送するというもの。伝送された地上デジタル信号は、下呂総合庁舎から無線機(親局)を用いて18G/19GHzの周波数で伝送し、約2.6km先の無線子局で受信した。
無線子局からは、既設の共聴施設の同軸伝送路(光−無線−同軸方式)とFTTH(光−無線−FTTH方式)にそれぞれ接続され、モニター宅で鮮明な地上デジタル放送を視聴することが可能であった。また、IP通信実験でも問題なく転送できることが実証された。
実験に際し、NTTインフラネットは光ファイバ整備に関するノウハウ提供と、各システムのコーディネート、KCCSは本システムの無線技術の提供、古河電工は光長距離中継システムと閉域実験網内のFTTHシステムおよび地上デジタル放送伝送技術の提供を、それぞれ行った。
3社は、山間部や離島といったコスト的な理由から光ファイバの敷設が困難という地域における地上デジタル放送視聴の問題解決手段の一つとして、本システムをさらに発展させ、デジタルデバイド解消の一翼を担うとしている。
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