「教えて!家電」に始まり、「教えて!Beauty」「教えて!ブライダル」「教えて!保険」と、独自開発の商品推薦(リコメンデーション)エンジン「Bull’s eye」を搭載した消費者支援サイトを次々にオープンしているALBERTは、リコメンデーション技術に特化したベンチャー企業だ。
通販会社大手のニッセンと、インターネットを活用したリサーチ事業を展開するインタースコープが共同出資して2005年に設立した。代表取締役社長である上村崇氏は弱冠27歳という若さであり、設立1年強ながら、すでに上場を見据えた組織作りにも着手している。ALBERTの創業経緯や今後の展開について話を聞いた。
ALBERTは、リコメンデーションに特化した会社として、2005年7月に設立されました。もともと会長の山川(山川義介氏:代表取締役会長)と私はインタースコープにいまして、インターネットを活用したアンケートを行い、その分析結果をレポーティングするといったことを主な仕事としていました。
ただ、アンケート結果を分析していると、だんだん消費者の行動予測ができるようになるんですね。そこで、その予測をECサイトなどでの商品選びに生かせるようなシステムが作れないかと思い、リコメンデーションエンジンを開発して、行動予測を生かしたシステムを完成させました。
2004年4月にインタースコープはニッセンと資本、業務提携しました。ニッセンは2500万人のユーザーを持つ大手の通販会社であり、インターネットにおける物販サイトとしても最大級の規模です。リコメンデーションにおいてもニッセンの集客力とインタースコープの技術を合わせたほうが高い価値を提供できると考え、ALBERTを設立したというわけです。
私は最初、学生時代にインターンとしてインタースコープに参加していて、その後新卒としてほかの会社に就職しました。でも、いつかは自分でベンチャー会社を立ち上げたいという思いはずっと持っていて、再びインタースコープに戻ったんです。そして新規事業としてリコメンデーションエンジンを使ったビジネスをやりたいと考え、山川とふたりでニッセンに提案しました。これが共同プロジェクトという形でスタートし、その後法人化して山川が会長に、私が社長になったわけです。
20代のベンチャー社長としてしばしば取材も受けますが、大きな会社からの資本が入っていますので、一般的なベンチャーとは事情が違うと思います。
インターネットが普及したことで、インターネットを使って買い物をするということが当たり前になったんですね。でも、ECサイトでの買い物は従来の対面販売と違って、自分で一から製品選びをしなければなりません。例えば、PCを買うときにはCPUやHDDといった構成要素を理解しておかないと、製品選びもままならないわけです。また、検索機能が用意されていても、自分の希望に合わせてPCの構成内容を入力すると「該当機種がありません」と表示されてしまうこともあります。絞り込み検索の機能は、実はインターネットが始まった頃からあまり変わっていないのです。
今後のECサイトの方向性を考えると、このような検索機能よりもリコメンデーションを活用した方が使いやすいと考えました。リコメンデーションなら、たとえ商品のスペックは分からなくても、自分の希望を入力していくことで希望に近い商品が自動的にピックアップされます。
例えばデジタルカメラを買いたいと思ったとき、いきなり画素数で選べと言われても、一般的な消費者は画素数とはそもそも何なのか、何がいいのかといったことまではわかりません。しかし、ALBERTが開発し特許を出願しているBull's eyeを使えば、「軽いカメラがいい」「いろいろな本体カラーがある方がいい」など、希望を聞いていくことで最適な商品を提案できるのです。
はい。教えて!家電は、2005年11月にサイトをオープンしました。ここではまず、PCやプリンタなどの商品を選びます。例えばデジタルカメラを選んだ場合には、最初に一眼レフタイプか中小型タイプがいいかといったタイプを選ぶようになっています。
次に予算を指定すると、メーカーを決めるかどうか、記録媒体は決まっているかといった質問が表示され、その次にカメラの性能に対する希望を選ぶようになっています。例えば画質は重視するかどうか、またどのくらい重視するかといった具合に、軽さ、バッテリーの持ちなどの項目に対し、重要度をスライダーによって指定していきます。
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