ワシントン発--Googleの最高経営責任者(CEO)Eric Schmidt氏は米国時間10月17日、科学技術に詳しい人々は、社会におけるインターネットの役割を理解してもらうため、もっと政府に働きかけるべきだと述べた。
Schmidt氏は当地で開催された米国アカデミーのコンピュータ科学電気通信委員会主催の公開シンポジウムにおいて、「平均して政府関係者は、こうした科学技術を利用している年齢ではない」と述べ「非常に深刻な世代間のギャップが存在している」と語った。
政策の中でも特に重要なのは、ネットの中立性とデジタル著作権法である。ネットの中立性とは、ネットワーク事業者はその回線を流れるコンテンツに優先順位を設けてはならないという考え方である。Schmidt氏はネットの中立性問題を「電話会社の復しゅう」と呼んでいる。サイト内にあるコンテンツの著作権に関する申し立てに取り組むことが日常的になっているGoogleなどのオンラインサービスプロバイダは、現時点ではデジタルミレニアム著作権法(DMCA)により適切に保護されているが、今後この領域に変化が生じると、「ウェブのあり方が著しく変わる可能性がある」と同氏は言う。
Schmidt氏はまた、個人のプライバシー権と政府による介入の適切なバランスに関する論争はすぐには解決されないだろうと述べた。「簡単な解決策が存在するわけではないからだ」(Schmidt氏)
2016年にはコンピュータ科学および電気通信はどのようになっているかというテーマで開催されたこの日1日の講演は、GoogleのCEOであるSchmidt氏の30分間の講演で終わった。右ひじを演壇の端につきながらその横に立ち、黒っぽいジャケットとズボンという、ノンネクタイのカジュアルな服装のSchmidt氏は、ほとんど原稿を用意せずに講演を行っているように見えた。
同氏の講演は、メインフレーム時代の自身の思い出から、ビジネスモデルとしてのターゲット広告の重要性、同氏の信念にいたるまで、多岐に渡るものであった。特に、いわゆるメディアの融合が進んでも、最終的に消費者に「すべてを満たす1つの箱」が提供されることにはならないという同氏の信念を何度か繰り返した。
「利用する装置やその台数が、今後かなり変わってくることは明らかである」と同氏は述べた。しかし同氏は、どの装置からでも単一のログイン名とパスワードで同じコンテンツにアクセスすることができ、すべてが「完全にシームレス」な世界になることを望んでいると述べた。
Schmidt氏は、Googleが先週ビデオ共有サイトYouTubeを16億5000万ドルで買収すると発表したことに関して、この講演の中でほとんど触れることはなかった。Schmidt氏の講演の後、CNET News.comの記者は、YouTubeを買収することでGoogleが著作権問題を抱え込むことになるかどうかと質問したところ、同氏はただ、同社はDMCAの下で運営し、「気をつけて取り組んでいく」とだけ述べ、買収はまだ完了しておらず、もうこれ以上話すことはないと付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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