一方、McAfee自身も他のセキュリティ企業の買収を積極的に進めている。どうやら自身の企業価値を高め、1社だけで何でも揃うワンストップ企業にするのが狙いのようだ。
また、この2年ほど、ウォール街では、Ciscoがウイルス対策ソフトウェアベンダーTrend Microを買収するのではという憶測が何度となく飛び交っている。ネットワーク大手のCiscoは、長い間セキュリティ企業の買収を目論んできたが、2005年、同社の次世代セキュリティ戦略であるAdaptive Threat Defense(適応型防御システム)の一部として、Trend Micro社との提携関係を深めた。
ファイアウォールとVPNのパイオニアであるCheck Pointは、困難な状況に直面している。2005年10月、52週連続で高値を維持していた同社の株価が、22%近くも急落したのだ。2006年第2四半期の売上高も前年同期に比べ4%低い1億3890万ドルに留まっている。この4年間、Check Point社の売上げは横ばい状態で、株価も低迷していた。
しかし、あるアナリストによると、最近、Check Point社の株は「待ち」から「買い」へと格上げされたという。2006年の残り数ヶ月で売上げが伸びると推測されていることと、セキュリティ企業を買収する側にとって極めて魅力的な会社になっていることが原因だ。
「RSAとISSの買収額が非常に高かったため、他のセキュリティ企業も売却を検討するようになったのだろう」とJeffries & Co.のアナリストKatherine Egbertはレポートの中で書いている。「Check Pointでは、従来なら身売りには積極的でない経営幹部が、主な重役を人件費がかさむことを覚悟で数人同時に入れ換えることを考えているというから、本当に真剣に売却を考えているようだ」(Egbert氏)
一方、Secure Computing社は、規模拡大を図ろうとしている。2006年7月には、メッセージングセキュリティ企業CipherTrust社を2億7360万ドルで買収すると発表したが、この件は投資家の不評を買い、同社の株価は買収発表の翌日に38%ダウンの4.99ドルにまで下落した。その後も以前の水準にまで回復しておらず、現在は6〜7ドルあたりで取引されている。
しかし、Secure Computing社の最高経営責任者であるJohn McNulty氏は、統合防御システムの専門企業がメッセージング分野で主要企業になりつつあることに触れ、今回の買収によって同社の地位は向上したと主張している。
Check Point、McAfee、Trend Microのいずれも、買収の件についてコメントを拒否している。
セキュリティ業界の統合が進み、セキュリティ保護技術が他の製品に組み込まれるようになるにつれ、セキュリティ専門企業は消滅するのでは、と予測するアナリストもいる。
Cowen & Co.のアナリストWalter Pritchard氏は、セキュリティ企業の今後について次のように語った。「セキュリティ機能は、最終的には、現在のような独立した機能ではなく、従属的な機能になる。つまり、他の主要な機能に付随する機能だ。基本的なセキュリティ機能は、ストレージ、デスクトップ、サーバに組み込まれるようになるだろう」(Pritchard氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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