最近の携帯電話は音声通話以外にもいろいろなことができる。ニュース、映像、地域の天気からお勧めのレストランに至るまで、さまざまな情報を携帯電話で入手することができる。
しかし、そうした情報にアクセスする方法を知らない利用者もまだまだ多い。それが、GoogleやYahooなどの検索大手、さらにはInfoSpace、JumpTap、Medioといった多くの新興企業にとって大きなビジネスチャンスとなる。こうした企業はユーザー向けのコンテンツ検索用ツールを開発しており、増収を目指して、検索結果に基づく広告の掲載を試験的に始めている。
「携帯電話事業者のポータルサイトに10種類ほどの着信音と数カ所のサイトしか用意されていない時代はシンプルだった」とiGillott ResearchのアナリストIain Gillott氏は語る。「今では、1万種類の着信音が用意されており、欲しいものを探すのにも一苦労する。Wal-Martに入ってみたら、通路に番号がついているだけで、どこに何が置いてあるのかまったくわからない、そんな状態だ」(Gillott氏)
Cellular Telecommunications & Internet Association(CTIA)が9月にロサンゼルスで開催したトレードショー「CTIA Wireless IT & Entertainment」でも、こうした検索サービスの基盤となるモバイル検索および広告のビジネスモデルが盛んに議論された。
価格競争にさらされて音声通話サービスからの売り上げが低下を続ける中、携帯電話事業者たちは、モバイルビデオ、音楽ダウンロード、その他のデーサービスなどを提供して、売り上げの低下を埋め合わせている。しかし、これまでのところ、米国1億9000万人の携帯加入者の大半は、携帯電話でコンテンツをダウンロードしたこともなければ、インターネットのコンテンツを検索したこともない。
調査会社M:Metricsによると、米国の携帯加入者のうち、2006年5〜7月までの3ヶ月間で何らかのマルチメディアコンテンツをダウンロードした人の数は、わずか15%(約2800万人)にすぎないという。またYankee Groupの調査によると、携帯電話からインターネットの利用を試したことがあるという程度でさえ、米国の携帯加入者では18%が体験しているに過ぎない。そのうち自分を定常的なモバイルインターネットユーザーと思っているのは6%だという。
米国の携帯電話加入者が、インターネット上のコンテンツをダウンロードしない、または、モバイルインターネットを利用しない理由はいくらでもありそうだ。まず、サービスやコンテンツの価格が高すぎることが挙げられる。携帯の小さな画面ではネットを心地よく楽しめないということもあるだろう。単純に、自分の探しているコンテンツを手早く見つけることができないからだ、とする専門家もいる。
「モバイルインターネットの利用はまだまだ難しいところがある」とJumpTapのマーケティング担当バイスプレジデントEric McCabe氏は指摘する。「有線インターネットが爆発的に普及し始めたのは、Googleのような検索ツールによってオンライン上で楽に情報を見つけることができるようになってからだった」(McCabe氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス