WiiやPLAYSTATION 3といった次世代ゲームの登場やオンラインゲームの台頭で注目を集めるゲーム業界だが、今後どのように発展するのだろうか。社団法人日本コンピュータエンタテインメント協会(CESA)会長でスクウェア・エニックスの代表取締役社長でもある和田洋一氏は東京ゲームショウにて「ゲーム産業の可能性と期待」と題して講演し、ゲーム業界の展望を語った。
和田氏の説明によると、家庭用・PCゲームソフトの世界市場規模は2001年から年率9.3%で成長しているという。そのうちコンシュマー機だけで見ればその成長率は15.4%にも上る。また、オンラインゲームの市場規模も大きくなっており「(オンラインゲームは)『一部の人しかやらない』と言われていたが、2005年には2500億円の規模に育っている」と急成長ぶりを説明した。
また、日本の家庭用ゲーム利用者の年齢層を見ると、20代男性が57.2%と最も多いものの、30代以上でも広く利用されており、70代でも男性で1.7%、女性で3.0%の利用があるという。また、男性では40代までの人の50%以上、女性では30代までの人の50%以上が、今後家庭用ゲームを利用したいと考えているとのことだ。このようなユーザーの動向からもゲーム市場は潜在的なものも合わせて非常に大きいと語った。
成長面では不安がないとするゲーム市場だが、同じことをやっていても潜在的なニーズはつかめない、そこに危機意識を持つべきと和田氏は指摘する。2005年頃までゲーム業界はハード、ソフトともに「リッチコンテンツを追求する」というひとつの方向に向かって発展してきた。和田氏は2006年以降をゲーム市場の第2ステージと定義し、ここで市場が成長するためには、発展の方向を多様化していかなければならないとした。
今後ゲームを利用できる環境は、リビング、デスク、モバイル、ゲームセンターなど、あらゆる生活シーンに広がっていくという。また、ニンテンドーDSのようにタッチパネルや各種センサーがつくことでもゲームの可能性はさらに広がるとした。
さらに、現在主に光ディスクで提供されているソフトウェアがネットワーク経由で提供されることにより、「遊び方やゲームの作り方が変わるだけでなく、物流コストも軽くなり、従量課金制など新たな収益モデルも生まれる」と説明する。
和田氏は最後に「第2ステージはチャンスに満ちている。しかし多様化の工夫が必要。業界を挙げてそれに取り組んでいくことでより新しいユーザーを呼びこんでいきたい」と語り、講演を終了した。
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