Hewlett-Packard(HP)の取締役会は米国時間9月10日、取締役会議を招集し、Patricia Dunn会長の去就について数時間に渡り議論したが、結局、会長の去就問題に関する決定の発表を行わないまま会議は終了した。Dunn会長は、HPが情報漏えい問題の調査を依頼した調査会社が役員や記者らの個人的な通話記録を不正に入手していた事実が発覚したことを受け、辞任を要求されている。
HPは、11日に取締役会を再招集するとし、それまでは調査に関する発表は行わないと述べた。
Dunn氏は、HP取締役会を秘密裏に調査したことをきっかけに発生した問題の中心人物と考えられている。メディアへの情報漏えいが2005年に始まったことを受け、Dunn氏は役員に対する調査を命令した。その結果、役員の1人が辞任し、1人が再選見送りとなった。
HPが米証券取引委員会(SEC)に提出した文書によると、同社は、役員によるメディアへの情報漏えいについて、ある調査会社に調査を依頼したという。そして、その調査会社から委託を受けた請負業者が「プリテキスティング」と呼ばれる手法を使って役員らを詳細に調べた、とHPは説明している。プリテキスティングとは、ある人物が別の人物になりすまし、電話の通話記録などの個人情報を入手する行為を指す。
HPは7日、CNET News.comの記者3人を含む計9人の記者の通話記録を入手したことを認めた。
ただ、Dunn氏自身は、HPが雇った調査員が問題のある手段を用いて役員や記者らの通話記録にアクセスしていた事実は知らなかったという。
HPの役員だったが、取締役会の調査方法に反対し5月に辞任した、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストであるThomas Perkins氏は8日、Dunn氏は辞任すべきだと語った。
Perkins氏は声明の中で、「(Dunn氏に対する辞任要求は)同氏に対する恨みからではなく、HPの最大の利益を守るためだ」とし、さらに「過去数カ月間、数日間の流れを考えると、Dunn氏の辞任こそが最もHPの利益になると考える」と語った。
Dunn氏は、辞任する考えはないとし、「取締役会が辞任を求めるならば、私は無条件にその判断を受け入れる。取締役会がそのような対応を求めるならば、それが株主にとって適切な判断なのだと確信している」と語っている。
HPが雇った調査員が用いた調査方法に対し、カリフォルニア州検事局が調査に乗り出した。その結果次第では、HPはID窃盗や、データベース情報に不正にアクセスしたとして刑事責任を問われる可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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