韓国は、昔からある問題の1つである通りや住所の複雑な体系をオープンソースプロジェクトを用いて解決しようとしている。
韓国政府は、同国の通りや住所の表記を標準化し、その情報を基にデータベースを構築するためのチームを発足した。韓国は最終的に、国際標準に準拠する住所マッピングシステムの構築を目指している。
このプロジェクトは2009年末まで継続され、費用は2006年で370万ドル、2007年で450万ドルになると見積もられている。
韓国の住所体系は、住人と訪問者の双方にとって、わかりにくいものとなっている。住所はたいてい、通りの番号と土地の区画番号を組み合わせたものになっている。また、ソウルを初めとする都市部はここ数十年で急速に発展してきている。どうすれば目的地にたどり着けるかを知りたい時、大半の人々は住所を使用せずに、コンピュータによって生成された地図やカーナビを利用するか、目的地にいる人に携帯電話で連絡して教えてもらっている。わかりにくい住所は、ソウルのあらゆる所で発生する渋滞の一因ともなっている。
現行の体系のわかりにくい点として他に、通りの名前と番号が住所に含まれていない場所が多いということもある。その代わりに、地域、ビル、区画のいずれか、あるいはそれらを組み合わせたものが用いられている。例えば、韓国電力公社(KEPCO)の現住所は167 Samsung-dong, Gangnam-gu, Seoul, Koreaであるが、新住所は11 Youngdong Street, Gangnam-gu, Seoul, Koreaとなる。また、ZDNet Koreaは現在、Sungdo Venture Tower 4F, 165-2 Samsung-dong, Kangnam-gu, Seoul, Koreaという住所だが、新住所は22 Hanjeon buk Street, Gangnam-gu, Seoul, Koreaとなる。
新システムによって、消防署や警察署は緊急事態により迅速に対応できるようになる。
韓国行政自治部が発足させたチームは現時点において、プロジェクトの適用範囲とデータベースの標準化についての評価を行っている。同チームは2007年から2009年の間に、データを更新し、新たな地域と通りを追加する予定だ。
このプロジェクトは、政府が長期にわたって支持してきたオープンソースソフトウェアをベースとするものとなる。韓国は既に、Linuxサーバを使って教育行政情報システム(National Education Information System)を構築した。情報通信部は、大学および政府機関にある数千台のPCやサーバをLinuxに移行するというプロジェクトを進めている。
このプロジェクトを率いるDoo-soo Kim氏は、「われわれがLinuxを選択した理由は、セットアップや維持にかかる費用が低いこと、ライセンス料がかからないこと、セキュリティ問題に対して迅速に対応できることだ」と述べている。
再区画化のプロジェクトが成功すれば、韓国にとって新たな輸出産業の創出につながる可能性がある。韓国は自国の問題を輸出産業へと変化させてきた歴史を持っている。1990年代後半に起こったアジア金融危機の後、政府は膨大な資金を投入し、国内にブロードバンドネットワークを張り巡らせた。韓国はそれ以降、オンラインゲームや、ブロードバンドに関するコンサルティングサービスといったものを輸出し始めたのだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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