IBMが、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory:LANL)のスーパーコンピュータを構築する契約を獲得した。同コンピュータは、それぞれ1万6000基以上のAMD「Opteron」プロセッサおよび「Cell」プロセッサを組み合わせたものになる予定で、IBMのコンピューティング事業にとっては新たな節目ともなるプロジェクトだ。
CNET News.comの第一報によれば、「Roadrunner」と呼ばれる同マシンは、Cellチップを搭載したOpteronサーバのクラスタを組み合わせる、ハイブリッド型のアプローチを取るという。各Cellチップには、高速演算が可能な8基の特殊用途エンジンが積まれている。なおCellチップは、IBM、ソニー、東芝が「 PLAYSTATION 3」ビデオゲーム機のために開発したものである。
IBMと米エネルギー省の国家核安全保障庁(National Nuclear Security Administration:NNSA)は米国時間9月6日、同社が今回の契約を獲得したことを公にした。ロスアラモス国立研究所があるニューメキシコ州選出のPete Domenici上院議員(共和党)は同契約について、「LANLがコンピューティング技術の最前線に復帰するときが来た。LANLはIBMとともに、世界最速のスーパーコンピュータを作るという胸躍る目標を掲げたのである」と話した。
LANLの関連研究所であるローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)は、280テラフロップ(毎秒280兆回)もの演算能力を持つ、世界最高峰のIBMマシン「Blue Gene/L」を所有している。Roadrunnerの性能はその4倍近くにまで達し、1ペタフロップ(毎秒1000兆回)もの演算処理が可能な速度を達成するという。
Roadrunner上ではLinuxが稼働し、OpteronおよびCellプロセッサ間でタスクを振り分けるソフトウェアも動作する。土台となるのはIBMが販売している商用ハードウェアで、個々に4基のOpteronプロセッサを備える「System x3755」サーバや、Cellベースシステムを持つ「IBM BladeCenter H」などが利用される予定だ。
IBMとLANLのほかにも、ペタフロップ級スーパーコンピュータの開発に取り組んでいる組織がある。
スーパーコンピュータを専門に扱うCrayは、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)にペタフロップマシンを提供する準備を進めており、ペタフロップレベルへの拡張を検討している国立エネルギー研究科学コンピューティング センター(National Energy Research Scientific Computing Center:NERSC)にマシンを納入する契約も勝ち取った。
さらに2006年6月には、理化学研究所が同社のスーパーコンピュータ「Protein Explorer」がペタフロップレベルを達成したと発表している。ただし、同社は一般的な「Linpack」スーパーコンピュータ速度テストは実施していないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果