ゼロから起業してソーシャルネットに懸ける成功への方程式

別井貴志(編集部)2006年09月04日 10時56分

 ライブドアの前代表取締役だった山崎徳之氏がゼロスタートコミュニケーションズという新会社を立ち上げて、ソーシャルネットワークを利用した新しいビジネス「posh me!(ポッシュ ミー)」を開始した。新会社設立までの経緯や背景については、CNET Japanブログで佐々木俊尚氏の「ジャーナリストの視点」において「ライブドア元役員、欲望系Web2.0への挑戦」で詳しく書かれている。

 ここでは、posh me!というサービスがどのようなビジネスなのか、将来どのように展開していくかを、代表取締役社長の山崎徳之氏と代表取締役副社長の羽田寛氏に聞いた。

--まず、ゼロスタートコミュニケーションズという社名の由来を聞かせてください。何か、いろいろな意味に取れそうですが。

山崎:もともと私が会社を設立するときに、最初に相談したのが岡村征治(専務取締役)という人間なんです。私のザキ(Z)とセイジのSということです。そこで、ZとSを一文字ずつとって社名を決めようじゃないかと言って。いろいろ考えているうちに、ライブドアショックということもあったので、ゼロからのスタートという名前が非常にいいんじゃないかということで決めました。まず、ZとSありきだったんです。

--この会社をつくろうと思ったのはいつごろだったんですか。

山崎:3月ぐらいですかね。3月ぐらいにライブドアの総会を開いて解任することが決まったので、次に何をするか考えなければいけないということもあって。それからですね。

--アイデアはけっこう温めていたんですか。

代表取締役社長 山崎徳之氏 代表取締役社長 山崎徳之氏

山崎:いいえ、全然。最初は儲かるからレンタルサーバ事業をやろうと思っていたんですよね。最初はSNSのことをあまり考えていなかったんですが、いろんな人と話をしているうちにソーシャルネットワークはこれから確実に儲かると市場だと考えました。夢もあるし、期待もできるし、やりがいもある。それで、ただ会社をつくるといっても、私は技術屋ですし、羽田に相談してそこから一気に加速していきました。

--そこで、どのようにソーシャルネットワークを捉えて事業展開することになったのですか。

山崎:事業内容なんですが、「ソーシャルネットワークを基盤とした事業展開」というと最近は多いですが、ソーシャルネットワークを目的ではなくて手段として使います。ソーシャルネットワークというのはmixiのおかげで立ち上がってきて、これからいよいよ、お遊びというか、物珍しさの世界から、いかに本当に使えるかという世界に入ってくると思うんですが、そこを切り込んでいこうと考えてます。

 最近、けっこう新しいソーシャルネットワーク、例えばお笑いソーシャルネットワーク登場とか(ありますが)、あれは結局ソーシャルネットワークのカテゴリーを絞っているだけですよね。ツールとして使っているという形ではないと思うんです。多分カテゴリーをカテゴライズしているだけというかたちだと思うんですが、われわれとしてはソーシャルネットワークをインフラにして事業展開をしようと考えています。ソーシャルネットワークというものがツールになって、その上に何か事業が乗るなり、サービスが乗るなりして、初めて意味があるだろうと考えていますので。

羽田:インターネットが出てきたときに、ヤフーみたいな使い方をみんな最初はして、それが楽天みたいに、そのサイトの中でいろいろなトランザクションを起こすという使い方も出てきましたよね。あれは、ネットが基盤になって、その上に商売というか、コマースというアプリケーションを乗せたというビジネスだと思うんですね。

 僕らもmixiみたいなソーシャルネットワークそのものをサービスにするのではなくて、ソーシャルネットワークの上に何らかのコンテンツを載せてやることでビジネスになる。おそらくソーシャルネットワークは機能としてどんどん進化していく。あえて、ソーシャルネットワーク(SN)と言っていて、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)とは言っていません。

--具体的にはどのような事業でしょうか。

山崎:まず、BtoCの自社事業ですね。自分たちでまずサービスを展開して、ソーシャルネットワークをこういうふうに活用するといいですよ、という例を見せると共に、事業収益も狙っていきます。そしてわれわれが作る仕組みと同じものを他者に販売して、「ソーシャルネットワークをこういうふうに使うと御社の売り上げや利益、ページビューなどを増やすことができますよ」という販売をしていきます。つまり、個人向けと法人向けの二本柱で事業を展開していこうと思っています。

羽田:収益的な面から言うと、BtoBのほうがはるかにステーブルだと思うんですよ。要は、山崎がつくるしっかりしたソリューションがあって、私がそれを売ってくると。私は金融屋というイメージが強いですが、もともとオン・ザ・エッヂに入社したときは、ウェブシステムの開発とセールスでしたので、そういう意味ではこれを大企業に導入してくるのはお手物のといったところです。

代表取締役副社長 羽田寛氏 代表取締役副社長 羽田寛氏

 ただし、企業にシステムを売るにあたって、ソーシャルネットワークはウェブマーケティングの重要な必要機能になっていきますよと言っても、今それをご理解いただける企業さんはほとんどいらっしゃらないと思うんですよ。「何、それ」っていう感じです。mixiみたいな在り方が1つ出てしまっていますから、「あれをうちに入れてどんな意味があるの?」という話になると思うんですね。だったら、「いや違うんですよ。ソーシャルネットワークというのはもっと広い概念で、プロファイルを明かした個人が自己主張してコミュニケーションする中からいろいろなものが生まれてくる広いものだ」と説きます。

 そのコミュニケーションのことを広くソーシャルネットワークというのだったら、例えばAmazonは、ものすごく洗練されたソーシャルネットワークを使いこなしていると思うんですよね。要は、Amazonにレビューの機能を持たせている。レビューの機能だけではなくて、書評を書いた人に対するレビュー、再評価の機能、二次評価の機能がなかったら、おそらく売り上げは20%、30%平気で落ちると思うんです。

 「この人はいつも確かなレビューを書く人だな」という人がいたら、その人が読んでいる他の本はやっぱり買いたくなるというのがありますよね。そういうのがあると思うんです。だからそういう使い方をご提案していく。ご提案するにあたっては、ソーシャルネットワークの誤訳、ある意味誤って世の中に広まってしまっているというか、限定的な意味で広まってしまっているところを解きほぐしていかなければいけないので、それを見せるためには自社サービスが必要になるということです。「こういう使い方もあるし、Amazonみたいな使い方もあるし、こんな使い方もあるから、御社だったらこうですよ」と提案するためには、個人向けと法人向けとその両輪でやっていく意味があります。

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