山崎:BtoCの自社で展開する事業ですが、まず8月15日から第一弾をスタートしました。一言で言うと、このサイトのターゲットはプロになりたいと思うプロ志向の強い素人です。素人と言ってもセミプロといった人をデビューさせて育成していく、そういう支援をしていくサービスなんです。
カテゴリーをいくつか作っていて、「me!」とあるのはタレントですね。アイドルになりたいとか、その先に女優、俳優とかあるかもしれませんが、そうした願望をプロデュースしていきます。「サウンド」というのは当然ミュージシャンですよね。特にインディーズだと思います。「テキスト」というのは小説ですね。インディーズノベルみたいな形になるかもしれません。「アニメ」というのはネットアニメ。これはライブドアでも仕掛けているようなネットアニメです。「やわらか戦車」など、すごくヒットしていますが、それとかなり近いものになると思います。あとは「ビデオ」と「お笑い」です。
山崎:この中で収益化が容易というか、まず見えているのが音楽とアニメだと思うんです。音楽というのは、やはりユーザーがアーティストに対価を払って作品を得ることが確立していますから。うちで音楽のコンテンツを集めて、それをたくさんのユーザーに評価してもらって、すごくいいという評価になった人をデビューさせれば、そのCDは売れるでしょう。売れた場合に、当社が持つプロダクション機能を使って、そのアーティストはうちに所属してもらいます。音楽の原盤を作るところも当社がやります。売れたら原盤収入が当社に入ってくるわけです。業界慣習で言うとだいだい15%ぐらいらしいですが、2000円の場合300円入ってきますから100万枚売れれば3億円、10万枚で3000万円という形の収入を見込んでいます。
また、アニメの場合には、アニメ自体を売るというよりは、アニメから派生したキャラクタービジネスになると思います。やわらか戦車のキャラクタービジネスもかなりヒットしていますが、ああいうキャラものは根強い人気というか、不滅のものってあると思うんです。代替わりはどんどんしていきますが、やはり市場の大きさは広くて、かつ、新しいものが受けていく。どうしてもキャラって、時間が経てばどうしても廃れていきますよね。キャラクタービジネスって新しいものをどんどん出していかなければ駄目ですから、それにこの仕組みは非常にはまると思うんです。
さらに、タレントの場合は、逆に写真集とかDVDとかテレビの出演料とか、一番上は映画かCMだと思うんですが、なかなかそこまでというのはいかない。音楽のインディーズの出しやすさとか、キャラの出しやすさに比べると少し垣根は高いと思うんです。しかし、評価する側の人がもっとも多いと思うんです。音楽ファンとかアニメ、キャラクターファンよりも芸能人が好きという人が一番多いですよね。だから、ここはもう間口を広げて、集客するためにぜったい必要なカテゴリーだろうと考えました。
羽田:あとはわかりやすいですよね。ユーザーや参加者にとって顔写真などは見ればわかりますから。評価もすぐできる。これが音楽だと、じーっと聞いたあとに「まあこのぐらいかな」と評価するので、ハードルがやっぱり高いと思うんですよね。こういうふうに評価するんだとか、こうやって応援できるんだとか、あるいはこうやってデビューできるんだ、というのを非常に美しく、わかりやすく見せてあげるために、タレントから力を入れていこうかなと考えています。
山崎:小説とか、ビデオとか、お笑いというのは、正直、今はまだ調査というか研究を続けているところで、どういうかたちでデビューさせて、どういうかたちで著作権なり収入に替えていくのが一番いいかというのはまだよくわかっていません。小説の場合は本を出して売ればいいんですが、それにもいろいろな形態があると思うんですよ。
音楽の場合には、われわれの役員に佐野日出夫という、ずっと音楽業界をやってきた人間がいますから、そこら辺は、業界の構造とかは、われわれの中では完全に把握できているんですね。
羽田:あとは、あるレーベルとの外部プロデューサー契約というのがあります。そういう意味では、われわれのこのサイトから育てたアーティストがちゃんとデビューできるパスはもう用意できていますから、音楽はものすごくわかりやすいですね。
山崎:そのほか、アニメや映画、テキストなどは業界に精通している人たちが役員になっているので、取り組んでいけます。
山崎:一番の特徴は、このサイトの場合、応募(デビュー)する側も評価する側も素人というか、一般の消費者ということです。これまでは、プロの審査員がいるなど、その消費者に完全に見えない、閉じた中でやってくというのがあたりまえでした。素人が応募してきてプロが目利きする。もしくはmixiミュージックみたいに、プロのコンテンツを素人がレビューする。そういうのはありますよね。だけど、素人と素人の組み合わせはありません。
これが単に今までないから物珍しいというだけではなくて、メリットがたくさんあって、まず素人が来てプロが評価する場合、どうしてもプロの個人的なものに依存してしまったり、評価のキャパシティーが特定の人に集中してしまいますから、そこに漏れた人はデビューできないとか、そういう制約がありますよね。
羽田:今までのデモテープ方式と何も変わらないわけですよ。はっきり申し上げれば、1日10本聞ける人だったら、年間に3650本しか評価できないわけですよ。
山崎:素人はプロほどいい評価ができないんじゃないかということがありますが、インターネットを使いますから、素人の母数がものすごく多いのです。プロの目利きが目指すものというのは、結局はすべての素人が喜ぶものはなんだろうと推測することですよね。ということは、全素人の意見を集めてしまえばそれはもう立派なプロの意見になると思うんです。
羽田:われわれが取り扱う中で、音楽はそれが唯一完璧なかたちで確立している物だと思うんですよ。要は、素人の、一般の消費者が自分で直接お金を払って、アーティストの物を買う、アーティストの主張を買うという形態って、実はありそうでなかなかない。本などはそうですが、タレントは間接ですよね。テレビドラマに出演して、テレにコマーシャルに流して消費する。消費者がタレントを直接買うのって写真集やDVDぐらいしかないと思うんですね、おそらく。
音楽っていうのは、それが成立している形態なんで、消費者の意見、要はお客様の意見が実は一番正しいビジネスの回答になるというのが直接成立する場所なんです。それで、プロっていうのは、はっきり申し上げれば、そのトレンドを予測する、あるいはトレンドを作る能力のある人をプロデューサーというわけで、おそらく神の領域に近いようなプロデューサーというのは、そこから先、ダイヤモンドの原石が集まった中で、さらに気づかなかった可能性を育てていく。これはできると思うんですが、ここからダイヤモンドの原石を拾い上げていく機能に関しては、やはり消費者が一番正しい意見だと思うんです。
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