全米レコード協会(RIAA)作成の、著作権法に関する教育ビデオは話にならないという声が、複数の業界団体や公益団体からあがっている。
なかでも、米家電協会(CEA)とネット市民権の擁護を掲げる団体のPublic Knowledgeは、共同で声明を発表し、RIAAの作成したビデオにある文言に異を唱えた。RIAAは同ビデオを全米の大学に配布する計画だ。
同じくRIAAのビデオに反対する立場を表明している、消費者擁護団体のHome Recording Rights Coalition(HRRC)でゼネラルカウンセルを務めるRobert Schwartz氏によると、RIAAのビデオでは、学生は無料コンテンツには用心すべきで、楽曲をコピーすることは、たとえそれが友人に新しいバンドを紹介するためだけのものであっても、つねに違法行為となると示唆しているという。
RIAAは、CD書き込み機器メーカーのような音楽共有に利害関係のある企業を代表する業界団体とたびたび争っている。RIAAは楽曲の違法コピーと戦うなかで、個人の権利を踏みにじっている、というのが反対陣営の主張だ。RIAAはここ数年、インターネット上で音楽ファイルを共有する人々を容赦なく提訴している。そしてRIAAはここにきて、音楽を違法にダウンロードしたときに直面する結末を、若者に知らしめるキャンペーンを開始する戦略を打ち出した。
RIAAは、教育ビデオに対する批判に対して次のように述べた。「最初は、われわれの権利を強制的に守らせようとすべきではないと言われた。今は、教育するのがよくないと言われている。何もするなと言うに等しい意見は受け入れられない。われわれは、権威ある学識者グループと協力して、学生たちがこういった問題に批判力をもって考えられるよう啓蒙していく」
RIAAによると、350を超える大学がこのビデオに関心を寄せているという。
7分間のビデオでは、ナレーターが著作権法を説明し、ウェブサイトから音楽をダウンロードした場合には、訴えられたり逮捕されたりする危険が生じることを示す構成になっている。途中、ナレーターが視聴者に、「自分用に作るのであれば」コピーを作成してもかまわないと語りかけるところがある。
「友人のためにコピーを作ったり、楽曲のソースを友人に渡してコピーさせたり、あるいは誰かに楽曲を電子メールで送ったりすることは、無料ダウンロードと同様に違法です」とナレーターは話しかける。
これは、ビデオと同じサイトに掲載されているFAQコーナーの説明と矛盾するようだとSchwartz氏は話す。
FAQコーナーには、購入した楽曲をアップロードしたりダウンロードしたりする権利があるかという質問があり、RIAAの回答として、批評や研究などの建設的な目的や学究的な目的に限って認められるものだと記されている。このビデオを批判する人々は、このFAQには、法律で認められている家庭内での録音について、個人使用のためものについてさえ、何一つ述べられていないと批判する。
「RIAAは、法律に関して一致した解釈や判例を根拠にするのではなく、ルールを勝手に作りあげているように見える」と、Schwartz氏は語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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