8月初旬、24歳のフリーランスジャーナリストJosh Wolf氏が米司法当局への協力を拒み、有名ブロガーとして初めて連邦刑務所に収監されたというニュースが新聞をにぎわせた。
インターネットで活動するビデオブロガーの先駆けとして知られるWolf氏は、連邦大陪審での証言を拒んだだけでなく、2005年7月にサンフランシスコ警察とG8抗議団体が衝突した際の模様を撮影した未公開ビデオの提出も拒否している。
本来なら、Wolf氏はカリフォルニア州のShield Law(取材源保護法)によって保護されるかもしれない。しかし、連邦検察はWolf氏のビデオテープにサンフランシスコ警察の車両が放火される瞬間が映っているのではないかと考えている。当該車両の購入には連邦政府の資金が一部使われているので、捜査権は州ではなく、自分たちにあるというのが連邦検察の主張だ(ビデオはここをクリック。編集部注:一部不適切な言葉が含まれています。あらかじめご了承ください)。
皮肉なことにWolf氏を擁護し、訴訟費用の一部を用立てたのはWolf氏をはじめとするニューメディアの支持者たちが批判してきた主流の企業メディアの面々だった。米国時間8月13日にはNew York Timesの元記者Judith Miller氏が、Wolf氏が収容されているカリフォルニア州ダブリンの刑務所の前で同氏を支持するコメントを発表した(Wolf氏へのインタビューは認められなかった)。Miller氏は2005年、連邦検察の捜査に協力することを拒み、85日間にわたって刑務所に収監された経験を持つ。
CNET News.comは刑務所の許可を得て、この囚われの有名ネチズンに15分間の電話インタビューを行うことに成功した。サンフランシスコに住み、「無政府主義哲学の研究家」を自認するWolf氏は、今回の収監は自分か、少なくともビデオテープに映っている人々の政治的信念と関わりがあるのではないかと見ている。しかし、彼が最も懸念しているのは政府がジャーナリストに対する保護をないがしろにしようとしていることだ。
まあまあ元気にしています。この刑務所に収監されたのはとてもラッキーでした。刑務所というより、患者のいない精神病棟という感じです。他の収容者たちともすっかり仲良くなりました。食事も許容範囲です。これには大いに安心しました。私は食べ物にうるさい方なのですが、ご承知の通り、刑務所ではそうも言っていられませんからね。他の収容者に関するコメントは控えますが、1つ言えるのは誰もが敬意を持って接してくれているということ、そしてとても友好的で外向的だということです。看守もとてもプロフェッショナルで、私だけでなく、すべての収容者を人間として扱ってくれます。この点は少し不安だったのですが、この刑務所に関する限り、それは杞憂でした。
第1の理由は、これは州が扱うべき問題だと思うからです。実際には連邦大陪審がサンフランシスコ警察の車両に対する損壊容疑を捜査しています。これが捜査の目的だとされています。もしサンフランシスコ警察の車両が連邦政府の所有物だと見なされるなら、連邦政府の所有物でないものなどあるのでしょうか。学校はもちろん、市役所も連邦政府の所有物ということになります。これは言い過ぎかもしれませんが、それほど無茶な解釈ではありませんし、非常に憂慮すべき事態です。
第2の理由は、私はカリフォルニア州の取材源保護法によって保護されるべきだと思うからです。この辺りはカリフォルニア州の管轄区域ですが、州からビデオテープの提出を求められたことはありません。連邦政府は何らかの理由で、州の保護を迂回しようとしているのです。警察車両が攻撃されたというのは建て前で、本当の目的は別にあるのではないでしょうか。政府がこのような高圧的で秘密めいた動きをしているのは不気味です。私がビデオテープの提出を拒否した大きな理由は、私はジャーナリストであり、保護される権利があると考えるからです。現場で抗議活動の様子を撮影した時、私は多くの人に何を公開するかは私の判断で決めること、それ以外の資料を第三者に渡すことはないことを約束しました。私の取材源はJudith Miller氏の取材源とはタイプが違いますが、それでも取材源を秘匿し、プライバシーの権利や結社の自由を保護する必要はあると思います。
そうは思いませんが、これはジャーナリストに対する保護をないがしろにする行為だと思います。政府は何らかの政治的な意図に基づいて、サンフランシスコ湾岸地域の無政府主義者--私ではなく、ビデオテープに映っている人々--を洗い出し、記録しようとしているのかもしれません。1950年代にHUAC(House Un-American Activities Committee:下院非米活動委員会)が行った「マッカーシズム(赤狩り)」をご存じだと思います。今日の標的は共産主義者ではなく、無政府主義者です。狙われているのが私ではなく、地域の他の人々だったとしても、政治的な魔女狩りが行われているなら、それは非常に懸念すべきことだと思います。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」