AOL、プライバシー侵害問題でCTOが引責辞任--社員2名も解雇処分に

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年08月22日 13時27分

 65万人に上るユーザーのウェブ検索データを公開し、多方面からの批判にさらされたAOLは、同社の社員2名を解雇した。また、最高技術責任者(CTO)も辞職した。

 AOLの最高経営責任者(CEO)であるJon Miller氏は米国時間8月21日、社員に宛てた電子メールの中で、CTOのMaureen Govern氏が「即時に辞任する決意を固めた」と述べている。

 Govern氏のコメントは得られていない。

 今回の問題に詳しい匿名希望の関係者によると、オンラインで公開されたデータを取り扱っていた研究者と、その上司で、Govern氏にとっては部下に当たる人物が解雇されたという。

 正式な後任者が決定するまでは、AOLのDigital Services部門の現在のプレジデントであり、2003年から2005年にかけてCTOを務めていたJohn McKinley氏が暫定CTOに就任すると、AOLは話している。

 Miller氏から社員に宛てた別の電子メールには、プライバシーにおけるベストプラクティスを築いていくためのタスクフォースを設立し、検索データをはじめとする各情報の保管期間について検討すると記されていた。

 また同社は、検索データや機密性の高い会員情報を含むデータベースへのアクセス権に厳しい制限を設けて、研究用データベースではそうした情報を扱わないようにし、機密情報の保護に関する社員教育プログラムを立ち上げることも、同じ電子メールの中で明らかにした。

 「AOLは、長きにわたってユーザーの信頼を獲得し、プライバシー保護における業界リーダーとしての立場を保持してきたが、たった一度の軽率な行為がこれを台無しにしてしまったことに対して、深い遺憾を覚えている。このたびの問題は、一部の社員が正しい判断をせず、当社のプライバシー部門の指針に従わずに作業を進めたことによって起こったものである。責任を負うべき社員には、適切な処分を下した」(Miller氏)

 AOLの研究者は8月、同社の新たな研究用ウェブサイトに、ユーザーのウェブ検索データを掲載した。同社はその後すぐに、セキュリティ上問題があったことを謝罪し、データを削除したが、データは他サイトによってすでに保存され、検索可能な状態に置かれてしまった。こうしたデータを公開したAOLに対しては、大きな批判が集中した。

 先週には、サンフランシスコに拠点を置くデジタル権利団体Electronic Frontier Foundation(EFF)が、AOLに対する苦情を連邦取引委員会(FTC)に申し立てている。同団体はFTCに提出した苦情の中で、AOLが同社のプライバシーポリシーおよび連邦法に違反した可能性を指摘し、調査を要請した。さらにEFFは、今回の情報漏洩によって影響を受けたユーザーにその旨を報告させること、ならびに特別な場合をのぞいて検索データのログ取得を中止させることをAOLに課す規制の制定を、立法機関に提案した。

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