公開されたデータにはユーザーの氏名こそ含まれていなかったものの、非常に詳細かつ広範な情報だったため、検索データをたどっていって特定の検索利用者を割り出すことも不可能ではないと、プライバシー擁護団体は警鐘を鳴らしている。実際に複数の新聞社や組織がこれが可能であることを立証している。
EFFの専任弁護士であるKevin Bankston氏は、電話によるインタビューの中で、「AOLが責任者をかえたからといって、議会およびFTCの介入の必要性がなくなったわけではない」と述べている。
「今回の問題に関連してCTOが辞職したことで、AOLは単発的な事故を収集するためではなく、検索ログを扱う方法自体を見直す意志を示したのだと解釈したい」(Bankston氏)
ワシントンD.C.に本拠を置くCenter for Democracy and Technologyの副所長Ari Schwartz氏は、AOLによるユーザー検索データの公開に違法性があったかどうかはまだはっきりしないが、同社が法律に違反していた場合は、FTCが何らかの処罰を与える可能性があると指摘している。同センターは、AOLから少額の投資を受けているという。
もっともSchwartz氏は、議会が新たな立法に動く必要はないと考えている。特に、マサチューセッツ州選出の民主党議員Edward Markey氏が提案しているような、ウェブサイト運営者による消費者データの「ウェアハウス」期間を定める法律は、制定すべきではないという。それよりも、業界が自発的に一貫性のある基準を取り決めていくことが好ましいと、同氏は主張した。
また、Electronic Privacy Information Centerのエグゼクティブディレクターを務めるMarc Rotenberg氏は、「定期的に削除されていてしかるべき」ユーザーの個人的な検索データ情報を、検索企業が保有している現状自体に問題があると指摘している。
電子メールによるインタビューに応じたRotenberg氏は、「個人のあらゆる検索情報を完全に放棄し、他の検索企業とは異なる方針を打ち出せば、AOLはオンラインコミュニティにほんとうに意味で奉仕することになる」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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