独立系の映画製作・配給会社シグロは、新作映画「もんしぇん」を劇場とネットで同時公開する。業務提携先のブロードバンドタワーと協力し、映画配信サイト「シグロシアター」で、8月19日の封切りにあわせ有償ダウンロード提供を始める。商業用映画としては国内初の試みという。
作品は動画ファイルをダウンロードして視聴する。対応OSはWindows XP、ウェブブラウザはInternet Explorer 6.0で、メディアプレーヤーソフトWindows Media Player 10以上が必要。
料金は映画館のチケット代と同額の1700円とする。視聴可能期間はダウンロード後14日間。決済方法にはブロードバンドタワーの会員制クレジットカード決済サービス「BBTowerウォレット」を採用する。なお、映画館での上映は東京上野の「一角座」で行う。
シグロによると、国内の映画スクリーン数は2926スクリーンで増加傾向だが、都市型のシネマ・コンプレックス(複合映画施設)が中心で、地方の独立系映画館は急激に減っている。そのため、シグロが配給を手がける作品は上映の機会が少なくなってきているという。
「現在の状況からみて、インターネットで映画を配信し視聴者に届ける方法は、当社にとって劇場での上映に次ぐ重要な配給手段になると考えている」(シグロ)
身近に映画館のない地方の在住者や、映画館へ行くのが難しい身体障害者にとっては、今まで見る機会の少なかった作品を鑑賞できるメリットがあるという。今回、ダウンロード提供する「もんしぇん」は聴覚障害者向けに台詞を日本語字幕つきで流す、といったバリアフリー対応を行う。
もんしぇんのストーリーは、妊娠したことに不安を感じながら旅をする少女が、迷い込んだ小さな島の入り江で、不思議な老人たちと1人の若い女性に出会い、命の不思議さを知る、というもの。
配信/決済システムを提供するブロードバンドタワーでは、シグロの作品について「大作娯楽映画のように多くの観客は見込めないが、必要としている人は全国にいる」とみており、ダウンロード提供によるニッチ需要の掘り起しを狙う。
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