日立製作所とその英法人Hitachi Europeは8月9日、ガリウム・マンガン・ヒ素(GaMnAs)による単一電子トランジスタを用い、磁気によって電気抵抗が100倍以上変化する磁気抵抗効果「クーロンブロッケード異方性磁気抵抗効果(CBAMR:Coulomb Blockade Anisotropic Magneto-Resistance)」を確認できたと発表した。
実験は、チェコInstitute of Physics, Academy of Sciences of the Czech Republic(ASCR)、英University of Nottingham(ノッティンガム大学)、英National Physical Laboratory、英University of Cambridge(ケンブリッジ大学)と共同で実施した。
日立らは、強磁性体であるGaMnAsの薄膜(膜厚5nm)で単一電子トランジスタを作成し、温度4.2ケルビン(約−269℃)という環境において100倍を超える電気抵抗の変化(磁気抵抗効果)を確認できた。さらに、この電気抵抗の変化が、クーロンブロッケード現象と強磁性体の磁気異方性との組み合わせて生じることも、理論計算によって示した。なお、磁気抵抗効果の大きさと信号変化の正負の値は、単一電子トランジスタに加える数Vのゲート電圧で制御できたという。
日立では、「シミュレーションの結果、金属強磁性体なら高温でもクーロンブロッケード効果が持続する可能性ある」と述べる。この仕組みを応用した磁気ヘッドは単一電子トランジスタによる単純な薄膜構造であることから、巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto Resistive)ヘッドと異なり、薄膜積層構造を採用する必要がない。「将来、1平方インチ当たりの記憶容量がテラビットを超えるハードディスクで用いられる、高感度磁気ヘッド技術への道を拓く」(日立)としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」