市場調査会社IDCのアナリストレポートが、郵送による会員間のCD交換を支援する音楽サイト「la la」について、非常に巧みで新しい方式だと評した。だが同時に、la laが音楽ファイルの違法コピーにもきわめて有効になることも指摘している。
音楽好きの人々がla laに会員登録すると、サイトを通じて好みの中古CDを見つけ、同じくla laの会員であるそのCDの持ち主に注文することができる。すると、CDはもとの持ち主から、注文者へと郵送される。レポートによると、多くのCDにはコピー防止機能がついておらず、楽曲がMP3ファイルへと変換されウェブ中に広がることを防ぐものは何もないので、この点が音楽レーベルの経営陣を警戒させるかもしれないという。このレポートはIDCのアナリスト、Susan Kevorkian氏が執筆した。
Kevorkian氏はレポートの中で、同じことは実店舗で営業する中古CD店にも当てはまるが、「そうした店舗にはla laが持つ潜在的な規模の大きさはない」と述べている。「この予測される脅威は、la laのコミュニティが成長すればするほど大きくなる」
la laに電話取材を申し入れたが、返答は得られなかった。
著作権侵害と長年戦ってきた音楽レーベルの経営陣は、それがMP3であろうとCDに焼き付ける形であろうと、共有を促進するようなサービスには警戒の目を向けがちだ。アルバムやCDを友人と交換する行為自体は何十年も続いてきたものだが、現在は、インターネットとコンピュータによって、たくさんの見知らぬ人同士が、同じような音楽嗜好をもった人を簡単に探し出して交換できるようになった点が異なっている。
la laではCD1枚の注文に対し1.75ドル(1ドルはla laへの交換仲介料、75セントは郵便料金)かかる。ユーザーはCDを1枚発送するたびに、CDを1枚注文する資格が得られる。オンラインDVDレンタルサービスの「Netflix」と同様に、郵送用のキットがla laから提供される。Kevorkian氏はレポートで、la laの仕組みの土台となっているのは、推薦機能を備えた同社の検索エンジンで、音楽の趣味が似た会員同士を結びつける設計になっていると述べている。
「la laは地元のレコード店で買い物をする感覚をオンラインで再現しようとしている」とレポートは続く。「そういった店では、ほかの音楽ファンの客や博識な店員と気軽に音楽情報がやりとりでき、それが店の売り上げの原動力になっていた」
ドットコム・ブームの時期に、「Swaprat」や「Swap.com」のように物々交換サービスサイトの立ち上げを試みた企業も何社かあったが、ほとんどはブームの崩壊のあとを生き延びることができなかった。
違法ファイルコピー問題を緩和するという点に関しては、la laは新しい取り組み方をしている。まず、la laは「"Z" Foundation」という非営利団体を設立し、ここを通じてCD交換による売り上げの20%をアーティストに支払うことを申し出ている。これは、la laが、中古CDの販売による利益をアーティスト側に分配する先駆的存在になることを意味する。さらに、la laは新曲も販売する。この点はレコード会社をなだめるために多いに役に立ちそうだ。
結局、ウェブ上でこれほど音楽ファイルが不正に流通していることを考えれば、la laが引き起こす脅威はささいなものでしかないと、Kevorkian氏は述べている。Kevorkian氏はレコード会社に対し、不正なコピーを作るユーザーが出てくるのはありうることだと警告したうえで、それでもなお、このサービスを容認するのが賢明だと説く。
「音楽業界にとっては、新曲のCDやデジタルダウンロードのための流通およびマーケティング経路として、la laを発展させるほうがよいはずだ」とKevorkian氏は記している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス