レコード業界との間で数百万ドル規模の和解が成立したファイル交換サービスのKazaaは、今後は合法サービスへと変わるだろうが、同サービスを再生への軌道に乗せるには和解が成立しただけでは不十分なようだ。
かつて無料で楽曲を入手できる場所として人気を博し、レコード業界にとっては悩みの種だったKazaaは、今回の和解を受け、著作権を侵害しているファイルの配布を阻止するためにフィルタリング技術を使った対策に乗り出す。また同社の親会社であるSharman Networksは、世界的なレコード会社であるEMI Group、Sony BMG Music Entertainment、Universal Music、Warner Musicの4社に総額1億ドル以上を支払う。
全米レコード協会(RIAA)と国際レコード産業連盟(International Federation for the Phonographic Industry:IFPI)が米国時間7月27日に発表したところによると、この和解をもって、レコード業界が豪州と米国で提起したKazaaに対する訴訟は終了するという。
「(この和解は)これまで違法なPtoPネットワークを通じて作品が盗まれたり、配布されたりする被害を受けてきた、創造的産業に関わる全ての人々にとっての勝利だ」と語るのは、EMIのバイスチェアマン、David Munns氏だ。
またこの和解により、Kazaaは、少なくとも当面は、別の有名PtoPサイトを襲った悲運を免れることになる。米最高裁はおよそ1年前、ファイル交換企業は自社サイト上で交換されている違法なコンテンツについて責任を負うとの判決を下し、分散型ダウンロードネットワークの合法性を認めた2003年の下級審判決を覆した。この最高裁判決は、PtoPファイル交換ソフト配布企業のGroksterの閉鎖を決定付けるとともに、PtoPネットワークにとってはその後レコード業界と対峙していく上で厳しい前例となった。
さらに2005年9月には、オーストラリアの連邦裁判所が、Sharmanはメディアファイルの違法な拡散を可能にするソフトウェアを配布することにより、広範な著作権侵害を助長したとして同社に対する有罪判決を下した。Sharmanは12月に豪州からのKazaaへのアクセスを遮断し、事態の沈静化を図ろうとしたが、その後、レコード業界の関係者が法廷侮辱罪の申し立てを開始し、Sharmanの幹部らは懲役刑の危機にさらされた。
Kazaaは、Groksterとは違い、サービスを閉鎖する予定はない。それどころか、同社は、分散型PtoPインフラを維持しつつ、有料の合法的なコンテンツを提供するサービスへと変身しようとしている。
Sharmanの米国内の広報担当であるPhil Armstrong氏は、「(Kazaaは)Kazaa Media Desktop上でライセンス取得済みのファイルを提供する」としている。ただ、新生Kazaaは、会員制のビジネスモデルを選択するか否かの判断はまだ下していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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