ファイル交換サービスを提供するGroksterが、自社のピアツーピア(PtoP)ソフトウェアの配布を停止することに合意した。これは、ハリウッドの映画会社やレコードレーベルに5000万ドルを支払うという、米国時間7日に発表された和解に応じたものだ。
Groksterは、そのソフトウェアを使い楽曲や映画をダウンロードすることで著作権侵害が助長されているとし、StreamCast Networksとともに音楽/映画業界から訴えられていた。同7日の和解に達したのは、米最高裁判所がエンターテインメント業界各社に大幅に有利な判決を出してから4カ月後のことだった。
ロサンゼルス連邦裁判所に同7日に提出された合意内容には、Groksterが即座に自社のファイル交換ネットワークのサポートを停止し、Groksterのオーナーが映画会社、レコードレーベル、そして音楽配信サイトに対し、責任を持って5000万ドルの損害賠償金を支払うとある。
4年におよぶ裁判はこれで終結に大きく一歩近づいたが、訴訟自体はまだ終わりではない。Groksterとともに提訴されたMorpheusの親会社StreamCast Networksは、現在も業務を続けており、先には下級裁判所での裁判続行を表明している。
しかし、訴訟の勢いはほぼ完全にエンターテインメント業界側に傾いている。
下級裁判所は何年にもわたり、ユーザーの行為に対する責任は企業にはないとし、GroksterとStreamCastに有利な判決を下してきた。だが、最高裁判所が6月に下した判決は、このような見方を一夜にして覆してしまった。
最高裁判所は全判事一致という驚くべき判決を下し、ファイル交換ソフトウェアを扱う企業と、その延長線上にある技術関連企業は、ユーザーの著作権侵害行為を暗示的に奨励もしくは「誘導」した場合、それに対する責任を負う可能性がある、との見解を示した。
David Souter最高裁判所判事は同裁判所の意見をまとめ、「侵害を助長する明確な説明や、さまざまな肯定的手順を示すなどし、著作権侵害を奨励する目的で機器や仕組みを流通させるものは、結果として生じる侵害行為の責任を負うものとする」と述べている。
この判決は、ファイル交換技術業界を一気に不安に陥れた。WinMXソフトウェアを配信するサイトは、数カ月後にプログラムの公開を停止した。最も人気の高いファイル共有プログラムeDonkeyを配信するMeta Machineの幹部も、音楽業界と和解し、ライセンスを受けて業界公認のサービスに転換する意向を明らかにしている。
エンターテインメント関連企業各社とGroksterの合意は、この流れを加速させる可能性を秘めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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