カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦裁判事が、米Streamcast Networksおよび米Groksterの運営するファイル交換サービスを合法とする判決を下した。これまでレコード/映画業界は同種の裁判で勝利を収め続けていたが、今回は正反対の内容となってしまった。
同裁判所判事のStephen Wilsonは、「StreamcastとGroksterのソフトウェアを使って行われた著作権侵害について、両社は責任を問われない」との裁定を出した。「ソフトウェアを合法/違法のどちらに利用するかについての判断は、ユーザーが行うものだ。GroksterとStreamCastは、家庭用のビデオレコーダーやコピー機を販売している企業と何ら変わらない。いずれの装置も、著作権侵害の可能性がある上、事実侵害行為に利用されてもいる」(Wilson)
なお、オランダでは2002年3月に、ファイル交換サービスKaZaAを提供するKazaaと、同国の著作権管理団体Buma/Stemraとの間で争われた裁判で、今回同様「PtoP技術による著作権侵害はユーザーの責任」とする判決が出ている。
今回の判決は、著作権のある音楽データをオンラインで交換する行為を合法としたわけではない。しかし、Gnutellaなどの中央サーバを持たないファイル交換ソフトウェアを提供する企業に、ユーザーの行為に対する責任から逃れる理由付けを与えてしまう可能性がある。
レコード業界の関係者は、「判決には評価できる内容もいくつかあるものの、直ちに上告することになるだろう」と述べている。
「誰でもアクセス可能なPtoPネットワークを使って著作権付きデータの違法アップロード/ダウンロードを行うことに対し、裁判所は個人ユーザーの責任を認めた。これは我々によって喜ばしい判断だ。しかし、大量の海賊行為を故意に支援している企業に、その行為に対する責任逃れをさせてはならない」(全米レコード協会最高経営責任者(CEO)のHilary Rosen)
今回ロサンゼルスの裁判所の下した判断は、米Napsterが物議を醸して以来ファイル交換サービスの支持者たちが主張してきた意見に対し、米国内で初めて妥当性を認めたものだ。
支持者たちは、「PtoPによるファイル交換は単なる技術。違法な目的だけに使われるものではなく、有益な活動にも利用できる」と訴え、「違法行為を阻止するためだけに、技術全体の利用を禁止すべきではない」としている。
この結論を下すに当たり、同裁判所はソニー製ビデオレコーダーを合法とした1984年の最高裁判決を再検討した。この判決は、ビデオレコーダやコピー機などの製品が合法/違法のどちらに使われようとも、“製造や販売した企業に責任を問わない”という原則の確立につながったものだ。
今回の判決を受け、レコード/映画業界側は上告すると考えられる。これまで裁判所によって異なる判決が下されてきたので、争いは最高裁に持ち込まれ、最終的な結論が出るまでにはまだ何年もかかるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス