Microsoftが、患者の診療情報用データベースソフトウェアであるAzyxxiの買収と、MedStar Health病院グループとの提携を発表した。同社は、今回の買収や提携を通して、ヘルスケアソフトウェア製品のラインナップを強化する意向だ。
同社は米国時間7月26日、Azyxxiに関わる新たな部門をヘルスソリューショングループ内に設立することを明らかにした。Azyxxiソフトウェアは、個々の患者の、診療から超音波画像にいたるまでのさまざまなデータを収集し、医師や看護士がアクセスできるようにするものである。
同社は先頃より、Quality of Life(QOL)を改善するための技術利用の宣伝に取り組んでいる。
Azyxxiソフトウェアのオリジナル開発者の2人であるCraig Feied氏とMark Smith氏は、MedStar HealthのWashington Hospital Centerで働く40人の開発要員とともに、Microsoftの新たな部門に籍をを移すことになる。なお、AzyxxiはワシントンDCのWashington Hospital Centerにおいて生み出されたソフトウェアである。
MicrosoftのヘルスソリューショングループのバイスプレジデントであるPeter Neupert氏は26日、買収を発表するためにワシントンDCで開催された記者会見において「われわれは、インフォメーションテクノロジがヘルスケアをよりよいものとすることができるという、(Azyxxiの)オリジナル開発者のビジョンを信じている」と述べた。なお、この買収の金銭的な条件は明らかにされていない。
Azyxxiソフトウェアは現在、ワシントンDCと、バルティモアの大都市圏にある7つのMedStar Healthの病院で利用されている。Microsoftは、このテクノロジを国内全域に展開していくことを計画しているという。
Microsoftはまた、Azyxxiと関係の深いMedStar Healthと提携を結んだ。同社によれば、MedStar Healthは新たに開発されたテクノロジをその患者治療に利用し、Washington Hospital Centerでは引き続き、プロトタイプや、ツールの新たな機能がテストされることになるという。
Feied氏は、記者会見でプレゼンテーションを行い、Azyxxiソフトウェアのインターフェースのデモにおいて、病院での生死に関わる仕事を支援できる可能性を強調してみせた。同氏の説明によれば、ヘルスケア関係者が現在抱える大きな問題は、時間のかかる情報検索のせいで、治療に振り向けられるべき時間が減ってしまっていることだという。
Azyxxiソフトウェアは、個々の患者の診療履歴を追跡するツールとして利用できるだけではなく、統計情報を蓄積することもできるという。Feied氏の示した例には、インフルエンザの発生数を毎年追跡したり、病院内で見られた薬剤耐性のパターンをチャート化することが含まれていた。
MicrosoftがAzyxxiソフトウェアを推進していけば、そのうちにプライバシーの問題が持ち上がってくる可能性もある。それは、情報の詰まった電子記録をある病院から別の病院へと移管する場合に特に問題となる。記者会見においては、すべてのMedStar Health系列の病院からAzyxxiの全データベースにアクセスできることが強調されたが、同ソフトウェアが他の医療機関によって利用される場合には、医療機関の間で患者の記録を移管する際に該当患者の同意が必要となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」