Microsoftが開発しているiPodの競合製品は、依然として謎に包まれている部分が多い中、その無線機能だけがApple Computerに対抗するための斬新な機能として大きくクローズアップされている。
Microsoftは米国時間7月21日、2006年内にZuneと呼ばれるメディア機器の第一弾を発売すると発表した。しかし同社は、その製品についてWi-Fi接続機能を備えている点を認めた以外、詳細をほとんど明らかにしていない。
Zuneに無線接続機能を搭載した目的すら明らかにしていない。同社のゼネラルマネジャーのChris Stephenson氏は、Billboard誌が行ったインタビューの中で、同社は依然として7〜8つの「シナリオ」を検討しており、その中には、Wi-Fi接続を使って音楽を直接ダウンロードしたり、近くにいる他のリスナーから音楽のサンプルを取得するといったアイデアが含まれていると語った。
「(Microsoftの関係者は)口が重い」と語るのは、市場調査会社GartnerのアナリストのMichael McGuire氏だ。同氏は、結局重要なのはZuneが消費者にとって使いやすいか使いづらいかという点であり、MicrosoftがZuneの無線機能をどのように使うかは関係ないと指摘する。例えば、キーボードを使わずに一覧から楽曲を選んでダウンロードできるインターフェースを設計するのは容易ではない。
「それにはユーザーインターフェースに関する微妙かつ大変深い理解が必要だろう」(McGuire氏)
音楽プレイヤーに無線機能を搭載したのはMicrosoftが初めてではない。チップメーカーのPortalPlayerも以前から無線機能の可能性に言及してきたが、同社の幹部らは、無線機能付きのプレイヤーの発表は2006年になるだろうと語っていた。またMusicGremlinも最近、有料の音楽コンテンツを無線でダウンロードできる音楽プレイヤーを発売した。
MusicGremlinの共同CEOを務めるRobert Khedouri氏は、業界全体が音楽プレイヤーに無線機能を搭載する方向に向かっていると語る。
Khedouri氏は電話インタビューの中で、「われわれはこの傾向について、これらのメディア機器が向かいつつある方向への必然的な一歩と見ている」とし、さらに「将来、消費者は様々な機器を使ってメディアにアクセスしたり、いちいちPCを介さずにメディアを取得したいと考えるようになるだろう」と語った。
仮にMicrosoftが、有名企業として初めて無線機能を搭載した音楽メディアプレイヤーを発売すれば、同社は競争上優位に立つことになる。ただ、問題はAppleが2006年内に無線機能付きiPodの発売を計画しているか否かだ。
Zuneに無線機能を搭載することによりMicrosoftはAppleに対し一歩先んじることになるが、それは同時に様々な技術的困難を伴う。すでにライバル各社は、iPodのシンプルさに対抗しようと苦心している。
「無線機能付きプレイヤーが果たして故障なくスムースに動作するだろうか」と疑問を呈するのは調査会社IDCのアナリストのSusan Kevorkian氏だ。「これは、これまで一度も完全な試験が行われていないため、使いやすさの点で極めて深刻な懸念がある」(Kevorkian氏)
MusicGremlinのKhedouri氏は、企業は携帯型プレイヤーへの無線機能の搭載に伴う困難を過小評価しがちだと指摘する。
Khedouri氏は、「たしかに無線機器を開発するのは非常に簡単だ」とした上で、「しかし、その機器を多くの人々が思い描くような方法で動作させたり、接続させることは極めて難しい」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」