Apple Computerは世間の注目を集めてきた訴訟において、未発表の音楽関連製品に関する詳細をリークした人物の身元特定を目的に上訴することを断念した。
Appleの機密情報をフリーのオンラインジャーナリストに流出させた人物を特定するための法廷闘争を継続するのに必要な締切期限が切れた。Appleは今週、裁判所への提出書類の中でカリフォルニア州最高裁判所への上訴は行わないことを認めた。
カリフォルニア州控訴裁判所は米国時間5月26日、「PowerPage.org」の制作者であるJason O'Grady氏およびAppleInsiderの発行人兼編集長を務めるKasper Jade氏(ペンネーム)からサイトの記録と電子メールの保存データを入手するために、召喚状の交付を求めていたAppleの要求を却下した。
3人の判事からなる控訴裁判所の法廷は、問題となっているフリーの記者らがプロのジャーナリストではないというAppleの主張を退けた。「本法廷では、『ジャーナリズムの要件』について深く追求しない」と判事は述べ、当該の人物らはカリフォルニア州が定める、ジャーナリストの権利保護のための法律によって保護されるという結論を下した。
サンタクララ郡高等裁判所に申し立てられたこの訴訟は米国全土からの注目を集めた。未発表の製品に関する訴訟ということもあるが、本訴訟がオンラインジャーナリストの権利と、機密情報を持つ企業の権利とのバランスをいかにしてとるべきかを結論づける初めての訴訟だからだ。
Appleがこの判決に関して上訴しないことで、将来的にジャーナリストがより自由に発言でき、(その他の機密情報流出)を助長するような判例を作ることになった。
電子フロンティア財団(EFF)で顧問弁護士を務めるKurt Opsahl氏は、この判決が大変大きな影響を及ぼすことになるかもしれないと述べた。サンフランシスコに拠点を置く同財団は、電子ネットワーク上での市民の自由を推進している組織で、当該のオンラインジャーナリストらを擁護している。
「この判決は他の州の司法管轄区でも参考にされるだろう」(Opsahl氏)
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