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“赤浦流”の投資スタイルでjig.jpは今世紀を代表する企業へ - (page 3)

別井貴志(編集部)、田中誠2006年07月07日 12時00分
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勝屋:赤浦さんは数年前からトラックレコード(実績)もすごく上げてるのに、自慢することなく、なぜそんなに誠実で謙虚なんですか(笑)?

赤浦:いや、そんなこともないと思いますけど(笑) ただ、いろんな人に教わってきた部分は大きいと思いますね。特にサイボウズのときの影響は大きくて、社長だった高須賀さんは、誠実、謙虚、素直の重要性を創業の時から言っていて、そういう環境の中で経験を積んできたので、そういう人間になりたいという努力はしてますね。

福野:最初に会った時から誠実そうだという印象がありました。すごいこと言ってるんだけど、すごいように言わないんですよ。非常に謙虚で、一緒に会社を作ることに対して具体的にどうなるかということを丁寧に説明してくれました。そういうところで信頼関係も深くなりましたね。

勝屋:赤浦さんは将来どんなベンチャーキャピタルをめざしてますか?

赤浦:まだサラリーマンだった1997年頃に考えたことは、21世紀のソニー、松下、トヨタ、ホンダが生まれてくるようなきっかけを作ろうということです。作れるか作れないかは別にして、作ろうと。それを人生の目標として決めたんです。

 もともと僕はベンチャーキャピタルをやりたかったわけではなく、社長になりたくてベンチャーキャピタル会社に入ったんですよ。いろんな社長に会えますからね。でも、やってるうちにこの仕事を生涯の仕事にしようと思ったんです。自分は本田総一郎にも松下幸之助にもなれないけど、そういう人が生まれてきた時に、実はあの人がいたから生まれたんだよ、と言われるような人になりたいと思ったんです。

 つまり、自分はゼロから1にするだけで、もしかしたら1を10個しか作らない人生かもしれない。でも、そのうちの1つでも1が1兆になってくれたら嬉しいですね。福野さんがそうなって、将来、日経ビジネスかなんかのインタビューを受けて、実は創業の頃に赤浦さんという人がいて……、みたいなことを言ってくれたら、自己満足して死ねると思います(笑)。とにかく、たくさんのきっかけを作っていきたいですね。ひとりぐらい、そういうきっかけばかりを作る人がいてもいいんじゃないかなと思います。

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勝屋:将来ベンチャーキャピタルになりたいという方々やベンチャーキャピタル会社に勤めてる若い方々に何かアドバイスってありますか?

赤浦:ベンチャーキャピタルにはいろんな段階があります。後ろの方の領域をする人、たとえば企業再生をする人などは大変だと思います。バイアウト系やMBI系のファンドだと、大きな会社を社長に代わって経営する能力が必要になりますから、マーケティング面にしても、ファイナンス面にしても、すべてにおいて超一流の経営技術が必要になります。相当勉強しておかないとだめでしょうね。そこを目指していく人と、僕のような領域を目指していく人とは違うんですよね。僕のような領域の場合は、専門性はそれほど必要なくて、やる気と気合と根性が大事なんです。

勝屋:ということは、赤浦さんのようなタイプのベンチャーキャピタルをめざすには、やる気と根性(ガッツ)が資質として求められるわけなんですね。

赤浦:あとは志ですかね。でも、僕みたいなステージをやる人ってあまりいないですよね。ですから競合することもほとんどないんです。会社組織でベンチャーキャピタルをやってると、なかなか踏み込めない領域だと思うんです。ファンドを持っていると、年間で運用していかなきゃいけない金額があるので、その金額を入れようと思うと、1社に5000万円とか、1億、2億円と入れなきゃいけなかったりするんですね。

 でも、僕と福野さんの場合などは1000万円ずつ出そう、みたいなところからスタートしてますから、そういう領域にコミットするのは既存のベンチャーキャピタルの会社では無理だと思うんです。1000万円しか出していなかったら3%の管理報酬をもらったとしても30万円にしかなりませんから。ですから僕のような領域で仕事をしたいのなら、腹をくくって独立しましょう、としか言えないですね。そのかわり、気合と根性と志があれば誰でもできるかもしれません(笑)

福野:でも、赤浦さんの場合、ファンドを含んでるところがスゴイですよね。つまり、赤浦さんに投資したいという人がいるわけですから。

勝屋:今振り返って、起業した時からベンチャーキャピタルの支援を想定していた方がよいと思いますか?

福野:ベンチャーキャピタルを、というよりは、自分の足りない部分は何かということを認識して、起業の段階で人材が揃っていた方がいいですよね。ベンチャーキャピタルが必要かどうかはそれぞれのケースによると思うんですよ。私の場合は、技術は分かるけど売り方は分からない、ネットワークがないという状態でした。そこに赤浦さんがたまたまピッタリだったわけです。足りないところを補う人がベンチャーキャピタリストの中にもいる可能性がある、という一例だと思います。

勝屋:これまたお金ではなく、やはり人(ベンチャーキャピタリスト自身)ということなんですね。

勝屋:ありがとうございました。では、次に赤浦さんよりご紹介いただくゲストは日本ベンチャーキャピタル株式会社の照沼さんですが、照沼さんの印象について聞かせてください。

赤浦:いい人です。僕の考えでは、ベンチャーキャピタルって会社ではなく、個人なんですね。個人対個人の関係でお互いが約束を守れることがすべてのベースになるんです。個人で信頼される人でないとダメ。照沼さんはサラリーマンではあるけど、会社自体も独立性が高いし、組織を覆した個人としての仕事の仕方という意味で、腹をくくって仕事をするタイプですね。いわゆるサラリーマン・ベンチャーキャピタルというのとは一線を画した人です。誠実で信頼できる人。ああいう個人として良い人というのがベンチャーキャピタルをやっていく上では大事なことだと思います。

次回
IBM Venture Capital Group ベンチャーディベロップメントエグゼクティブ日本担当
勝屋 久

1985年上智大学数学科卒。日本IBM入社。1999年ITベンチャー開拓チーム(ネットジェン)のリーダー、2000年よりIBM Venture Capital Groupの設立メンバー(日本代表)として参画。IBM Venture Capital Groupは、IBM Corporationのグローバルチームでルー・ガースナー(前IBM CEO)のInnovation,Growth戦略の1つでマイノリティ投資はせず、ベンチャーキャピタル様との良好なリレーションシップ構築をするユニークなポジションをとる。7年間で約1800社のベンチャー経営者、約700名のベンチャーキャピタル、ベンチャー支援者の方々と接した。Venture BEAT Project企画メンバー、総務省「情報フロンティア研究会」構成員、ニューインダストリーリーダーズサミット(NILS)企画メンバー、大手IT企業コーポレートベンチャーキャピタルコミュニティ(VBA)企画運営、経済産業省・総務省等のイベントにおけるパネリスト、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の中小ITベンチャー支援事業プロジェクトマネージャー、大学・研究機関などで講演、審査委員などを手掛ける。ベンチャー企業−ベンチャーキャピタル−事業会社の連携=“Triple Win”を信条に日々可能な限り多くのベンチャー業界の方と接し、人と人との繋がりを大切に活動を行っている。

また、真のビジネスのプロフェッショナル達に会社や組織を超えた繋がりをもつ 機会を提供し、IT・コンテンツ産業のイノベーションの促進を目指すとともに、 ベンチャー企業を応援するような場や機会を提供する「Venture BEAT Project」 のプランニングメンバーを務める。

趣味:フラメンコギター、パワーヨガ、Henna(最近はまる)、踊ること(人前で)

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