Web 2.0時代におけるポータルサイトの役割とは - (page 2)

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:野田幾子
2006年07月04日 08時00分
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個人発信メディアの信頼性を高めるために

--Web 2.0のサービスが増えることで、特にマスメディアは自分たちの影響力が下がることを気にしています。個人のメディアにユーザーが流れることで、ポータルサイトのアクセス数が減る危険性は感じませんか。

  私たちは確かにマスメディアですが、既存のメディアとはまったく違うと思います。例えば、同じ時間帯にエキサイトへアクセスしているユーザーのすべてが、同じ画面を見ているというわけではありませんよね。

 個人のメディア発信というところに対するポータルサイトの役割は、単純にツールを提供するだけでなく、個人のメディアにいろいろなものを付加していくことだと考えます。例えば、ネームカードにオークションの機能をつけて、商品の売買をネームカード経由でできるようにするといったことが考えられます。

 また、例えばある記者がハワイに関する記事を書いたとしますよね。その記事はあくまで「Web 1.0」という原版として、そこからユーザーが書き込んだり編集したり新たな知恵をつけたりすることで「Web 2.0」へと伸ばす--そういった、ユーザーの全員参加によるメディア作りを狙っています。そのためにも、ポータルの存在は必須だと思います。

--Web 2.0という概念の中にはさまざまなツールがあるわけですが、その中であえてネームカードを事業の中核に選んだ理由を教えてください。

 ひとつは、信頼性です。個人が発信するメディア、例えばブログに掲載されている記事内容は信憑性に欠けることが多いですよね。個人でもメディアを名乗るならば、信頼性を上げていかなければならない。そういう意味で、匿名がメインだったインターネットでも、名前を明かしていく流れに変えていきたいと考えました。

 我々はいわば、エキサイトという街作りをしているんです。物が買えたり、情報を入手できたり、コミュニティがあったり、映画館があったり、音楽CDを売っていたりする街--ネームカードは、その街に滞在するための住民票です。個人メディアの信頼性を高めるのであれば、匿名で、いわゆる無責任に好き勝手なことを言っているところから一歩抜け出すべきだと思っています。

--しかしその住民票は、エキサイトの中だけで通用するものですよね。他社サービスとの連携についてはどのような考えですか。

  他社のブログにもネームカードを貼り付けられますし、そこからエキサイトへ誘導することもできます。エキサイトの中だけで情報を囲いこむのではなく、別のサイトと連動するような形にしたいという構想はあります。

--Web2.0の技術的特徴の1つにはAPIの公開が挙げられますが、その点については。

 そういう動きにはなっていくでしょうね。ネームカード自身も個人がもっと進化させる形であってもいいと思いますから、API公開の可能性はあると思います。むしろ、そういった対応がより必要になってくるのではないでしょうか。

--エキサイトは技術そのものを売りにしている会社でないこともあり、技術者に対するアピールがほかのインターネット企業に比べて少ないように感じます。

 技術とはあくまでも裏側のものであり、そこだけをアピールする性質のものではないと思っています。逆に、Web 2.0の技術という話はよく出ますが、これまでの流れを見ていると、何か特別に真似できないような技術が現れているわけではない。そういう意味では、やり方に注目が集まると思うのです。エキサイトの中でも技術的なことを話したい気持ちはありますが、それよりも一般的に通用する言葉で伝えるべきだという考えです。

--例えばGoogleは、技術を持つ一般ユーザーを巻き込んで、自分たちがイメージする世界に引き込んでいくという手法を採っていますよね。

 そうですね。Googleのブランド作りとして、そのやり方は正しかったと思います。しかし、検索の次へ手を広げようとしたときに、技術部分だけを売りにすればいいのかというと、そうではない。Googleにとってはこれまで技術力を前面に出すことが大切だったのだと思うし、それが成功したのでしょう。

 失礼な言い方かもしれませんが、技術は新しい技術に取って代わられる可能性が高い。私自身、技術の世界から来ている人間ですから、技術の重要性は重々承知しています。しかし、コンピュータの技術は0と1の世界なので、必ず同じようなものが作れるわけです。それに対してし、ブランドのイメージを取って代えるのは難しいですよね。

 これはITだけでなくすべてに言えることであって、そのブランドイメージをいかに大切にしていくかが求められるのではないでしょうか。Googleにしても、Google ブランドが一貫している点、そこが魅力になっているのではないかと感じます。

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