今回のモデルチェンジで特に注目すべきなのは、ハードディスクの保護機能「VAIO ハードディスク・プロテクション」が備わったこと。これは、「type T」を動かしたときの状態を感知する機能だ。たとえば、台から落ちようとする場合、すぐに移動を検知してハードディスクのヘッドをプラッタ上から待避させる。単なる衝撃吸収のためにゴムやスポンジが入っているだけではない。
ハードディスクが特に振動に弱いのは、ヘッドがプラッタ上にある場合だ。磁気による情報が記録してあるプラッタとヘッドは接触すれすれの状態で浮いており、衝撃でヘッドがわずかでも上下にブレれば、即接触となりハードディスクは損傷する。一度損傷の傷ができれば、その際にプラッタの傷による埃が舞い、さらに周囲に傷を広げてしまう可能性が高い。
待避ができればHDDの損傷は防げるため、ごく最近では一部の高価なビジネス機を中心に同等の回避機能の搭載がはじまっている。その機能である「VAIO ハードディスク・プロテクション」が「type T」に搭載されることで、重要な場面への持ち歩きへの不安がなくなった。
実際にその機能を試してみた。落下などに見せかけた加速をつけて本体を動かすときちんと検知していた。検知すると右下のタスクバーのインジケータ部にアイコンが表示され、状態がバルーン表示される。
もちろん、この表示を出ないようにすることもでき、検知の感度も調整できる。たとえば、電車の中などでは常に検知してしまう恐れもあり、その場合は感度を低く設定すれば回避できる。
次に、新しい装備はビジネスモバイルマシンの必須アイテム、指紋認証とセキュリティーチップの搭載モデルが選択できることだ。指紋センサーはパスワード入力に相当する作業が一瞬で済むことで、面倒なパスワードよりもセキュリティ対策が進むことが期待できる。
その指紋センサーも、指をスライドするタイプなので、センサーに指紋がべったりと残っていることもない。単に押しつける指紋センサーはそこに指紋が残っているため、パスワードを書いたメモを貼り付けているようなものだ。その点、スライドタイプなら、センサーに指紋が残ることも少ない。
指紋センサーの利用は、まず「Protector Suite QL」で指紋を登録することからはじまる。指紋の登録時は確実に指紋を取り込まなければならず、しっかりとなぞらないとすぐに失敗する。一度登録してしまえば、実際のログオンはそれほど難しくない。
指紋センサーを使ってWindowsのログオンを行う場合は、まず、Windowsにパスワードを設定し、同じパスワードを「Protector Suite QL」にも設定する。この設定により、Windowsのログインなど、いままでいちいち文字を打ち込んでいたことに比べ、一気に便利になる。一度使い始めるとやめられなくなるほど快適だ。
また、TPMセキュリティーチップは、HDD上に仮想のパーソナルセキュアドライブを作成し、暗号化して保存できる。暗号の鍵はセキュリティーチップ上に保存され、HDDを取り出して他のPCなどからアクセスを制限できる。HDD内のセキュアなデータにアクセスしようとしても、セキュリティーチップの暗号鍵がなければ解読できないからだ。
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