調査会社Gartnerのアナリストによると、「Office 2007」の導入は当面はMicrosoftのSoftware Assurance(SA)プランに申し込んでいる企業に限られるという。同アナリストは、その理由として、Officeのアップグレード予算を正当化するは極めて難しいことを挙げている。
パリのMidsize Enterprise Summitで講演したGartnerのアナリストAnnette Jump氏は現地時間6月21日、同社が調査を行ったところ、MicrosoftのSAプランに申し込まずに前バージョンの「Office 2003」を導入した企業はわずか約2%だったことが分かったと述べた。
SAプランは、ソフトウェア保証プランとして、Microsoftの新しいソフトウェアを企業に割引価格で自動的にアップグレードさせる。同プランは、ユーザーに不要なWindowsアップグレードの購入を強制すると非難され、2005年に改訂されている。
「Officeを標準価格で購入することを正当化できる企業は非常に少ない。このことから、MicrosoftにとってのSAの重要性は明らかだ。Office 2003を利用する企業を対象に2005年に調査したところ、SAに加入していなかったのはわずか2%だった」(Jump氏)
企業各社は、次期バージョンのOfficeへの移行がもたらすメリットを慎重に数値化する必要があると、Jump氏は語っている。タイミングをずらすことが可能だとアナリストが主張する「Windows Vista」への移行とは異なり、2種類以上のOfficeのバージョンをサポートするには法外なコストがかかる。
「多くの企業は全社一斉にOffice 2007に移行する必要がある。2つのバージョンのOfficeをサポートするのは複雑な作業で、大半のところは対応しきれない」(Jump氏)
Office 2007には全く新しいユーザーインターフェースや新しいXMLベースのファイルフォーマットなど、複数の新機能が用意される。
Microsoftは、企業向けとして新しいエディションも発売する。「Professional Plus」エディションには、「Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」の他、「Professional」エディションに付属する「Access」と「Publisher」、そしてIMソフトの「Office Communicator」、文書フォーム作成ソフトの「InfoPath」、さらにサーバを利用したコンテンツ管理機能や文書フォーム管理機能も提供される。
さらに、Ray Ozzie氏が開発し、Microsoftが2005年に取得したコラボレーションプログラムのGrooveが加わる「Enterprise」バージョンも用意される。Grooveデスクトップソフトウェアを入手する場合は、独自にGrooveサーバを立てるか、ホスティングサービスを利用するかのいずれかを選択する。
Jump氏はさらに、多くの企業がOffice 2003を最近インストールしたばかりであることから、Office 2007の導入をすぐに急ぐところはほとんどないだろう、とも語った。Office 2007はWindows XPに対応しているが、大半の企業は移行前にVistaをインストールするようになるという。
「Office 2007が2008年半ばまでに獲得できるのは、Microsoftのインストールベースのわずか10%程度だろう。それまでにVistaに移行済みのところの割合がわずかだからだ」(Jump氏)
Gartnerによると、Office 2007ではグラフィカルインターフェースが改善されているとMicrosoftは主張するが、ヘルプデスクによる同スイートのサポートコストはユーザーが新機能になれるまでの間、短期的には上昇するという。
「彼らは同製品をもっとユーザーにわかりやすくしようとしており、作業に応じてメニューも変化する。Microsoftはこのグラフィカルインターフェースが問い合わせ件数の減少に一役買うと主張するが、実際のところ、最初の数カ月はヘルプデスクのサポートコストが増加するだろう」(Jump氏)
技術に対して保守的な姿勢を維持し、Office 2007を自社のコアビジネスプロセスに組み込む予定のない企業は、アップグレードの見送りや、導入の大幅な延期を実施する可能性もあると、Jump氏は語っている。
しかし同氏は、自社のユーザーがOffice 2007の早期導入ユーザーと確実にやりとりできるよう、コンバータの導入は全社にとって必須になるだろう、とも付け加えた。同氏は会場のIT専門家らに向かい、「コンバータについては、2006年もしくは2007年初頭までに全員が導入しなくてはならなくなる」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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