KDDIは6月21日、定例記者会見を開いた。代表取締役社長の小野寺正氏は会見の席の冒頭でまず、DIONの顧客流出事件について、社内調査状況を報告した。
それによると、流出した約400万件の情報にはDIONユーザー以外も含まれているという。新たに判明したのは2003年12月18日時点でパートナー関係にあるインターネットサービスプロバイダ(ISP)経由でKDDIのIP電話サービスに申し込んでいた1892名の個人ユーザーと997法人。事件発覚直後の会見で、流出経路に関して「社内もしくは外部ベンダーからの持ち出しの可能性が高い」と発表していたが、流出した情報は複数ISPにわたると見らているが、社名については公表されなかった。
KDDIでは、事件発覚の直後の6月14日に特別委員会を設置した。情報漏えいに関する調査と原因追求、情報管理に対する社内における管理体制の再確認を実施し「社会への徹底した信頼回復に努めたい」としている。さらに情報が流出した顧客に対しては、ISPと協議の上、個人ユーザーに対してはお詫び文書を送付し、法人に対しては営業部門で各社に対応していくという。経営責任については「流出経路がはっきりしない限り、経営責任の取りようがない」とコメントし、今回の事件がいまだ調査中であるという点を強調した。
またKDDIは同日、新サービス「KDDIグローバル・パワードイーサネット」を2006年9月に開始すると発表した。KDDIがすでに提供している社内LANサービス「KDDIパワードイーサネットサービス」を海外でも使えるようにしたもので、サービス提供エリアは、米国を皮切りに、2006年内に香港、シンガポール、2007年3月までに中国に拡大し、2007年4月以降にも英国、韓国へと順次展開していくという。
KDDIグローバル・パワードイーサネットは、日本で初めての「Any to Any」型の国際イーサネットサービスで、各拠点間を1対1でそれぞれに接続する「Point to Point」型の旧来のネットワーク構成ではなく、複数の拠点間をグローバルに接続するため、高品質な複数間の拠点の通信が利用できる上、経済的なネットワークの構築が可能という。
海外でのエリア接続については、アジア圏では独自ネットワークを構築し、欧米では現地事業者との提供により今後世界全域をカバーする。さらに、世界21カ国36都市に現地法人、出資会社、事務拠点などを40カ所以上設置し、海外における充実した顧客サポートに対応していきたいとしている。
サービスは1Mバイト以上の帯域から提供され、10Mバイトを超える場合、10Mバイト単位での品目ごとにユーザーが構築するイントラネット構成に応じた料金で、100Mバイト以上の場合は申し込みに応じて提供される。同社によると、ビット単価では国際専用線やIP-VPNに比べ、低価格になるという。
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