少し前までMicrosoftにとってアウトサイダーだったRay Ozzie氏はMicrosoftに入社してから瞬く間に、同社のオンラインサービス戦略の策定を率いる人物へと変貌を遂げた。Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクトに就任した同氏は、自社の技術面におけるビジョンを内外に示すという大役を任されることとなった。
業界観測筋らは、Microsoftの目の前に立ちはだかるさまざまな課題について、Ozzie氏の準備は万端だと述べる。「Ozzie氏は業界の中でもMicrosoft社内でも非常に尊敬されている。そして何よりもBill (Gates)氏からも信頼されている」と、GartnerのアナリストDavid Smith氏は述べた。「『Ozzie氏がその大役を果たすことができるか』という疑問が出ているが、私は彼よりも適した人物を知らない」(Smith氏)
Bill Gates氏は長い間、「Lotus Notes」を開発した功績のあるOzzie氏を自社に迎え入れたいと望んできた。そして2005年にOzzie氏が経営していたGroove Networksを買収し、ようやく願いを叶えたのである。50歳になる白髪のOzzie氏は米国時間6月15日、Gates氏の後任としてチーフソフトウェアアーキテクトの職に就任した。同氏はMicrosoft製品のテクニカルアーキテクチャや、その管理について大きな責任を追う。
今回の人事異動は、2005年にOzzie氏が幹部宛に「 The Internet Services Disruption(インターネットサービスの破壊力)」というタイトルのメモを送付した頃から予測されていた。こういった、全社の戦略に関わる文書は、従来であればGates氏が執筆してきたからである。2005年のメモでGates氏が執筆した部分はわずかにとどまり、なかには、Gates氏が書いたのはOzzie氏のメモのカバーレターのようなものだと述べる人もいた。
今週ボストンで開催されているMicrosoft主催の「TechEd」カンファレンスで、Ozzie氏はオープニングスピーチを行い、未来のテクノロジーに関して広範囲に渡って話した。これはGates氏がここ数年間行ってきたスピーチを彷彿とさせるものだった。
Ozzie氏は先見の明があるエンジニアとして好意的に評されている。同氏は1984年にIris Associatesを設立し、「Notes」を開発した。同ソフトウェアは今も世界中の多くの人に使用されている。IrisはLotusに買収され、その後LotusはIBMに買収される運命をたどった。IBMはOzzie氏と彼の率いるチームを引き入れたいがためにLotusを買収した。敵対的買収から始まったIBMとLotusの買収交渉の最中、当時のIBM最高経営責任者(CEO)だったLou Gerstner氏は自社保有のジェット機を使ってIris本社へ出向き、熱い思いを語ったという。それが功を奏し、移行時期の間、Ozzie氏はとどまることになった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス