司法委員会法案の法制化に乗り気ではなかった政治家たちが、24日の採決で賛成票を投じるという「異常事態」を起こした背景には、このような事情がある。Adam Schiff下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、「私はこの法案には効果がないと考えているが、同時に、司法省や独禁法問題に対する権限を獲得することが重要であるとのメッセージを送っていると考えている」と語った。
この司法委員会案を最も強く批判したのは、Lamar Smith下院議員(テキサス州選出、共和党)だ。同議員は、独占禁止法下にてケースバイケースで解決できるよう、判断は裁判所に委ねるべきだと主張した。
Smith氏は、司法委員会の法案はあまりに厳格すぎて、「米国経済の重要部門であるブロードバンド業界に足かせをはめることにもなりかねない」と警告した。
Anthony Weiner下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)も、同法案の支持者らが提案する「規制的手法」には反対したが、競合法案であるエネルギーおよび商業委員会の案に肩入れする気はまったくなかった。「エネルギーおよび商業委員会の法案は、是正する権利を司法委員会から、さらに率直に言えば米国市民から奪うものだ」(Weiner氏)
司法委員会の採決後、AT&Tは、残念に思うと同時に、2つの委員会の縄張り争いが解決されることを望んでいるとのコメントを発表した。AT&Tの政府関係担当エグゼクティブバイスプレジデント、Tim McKone氏は、「議会の大多数の議員が、同法案は全く存在しない問題の解決を目指す法案であると考え、その一方で、映像の選択を可能にする法案を可決することで消費者に選択の自由を与えることに重点を置いてくれるだろう、との楽観的見方をわれわれはしている」と語った。
米国通信協会(USTA)のWalter McCormick会長は、下院の採決前のこの議論に触れ、「下院司法委員会委員らは、この誤った無謀な法案が可決されれば、投資や技術革新が阻害され、消費者の選択肢が制限される恐れがあることを理解している」と語っていた。USTAは、Verizon Communications、BellSouth、AT&Tといった電気通信企業の業界団体である。
法案番号 | 筆頭発起人 | 主な法案内容 | 現状 |
---|---|---|---|
S.2360 | Wyden(民主) | インターネットの二重構造化の阻止 | 上院の委員会で審議中 |
S.2917 | Snowe(共和)およびDorgan(民主) | インターネットの二重構造化の阻止 | 先ごろ提出 |
HR5417 | Sensenbrenner(共和)およびConyers(民主) | 独占禁止をネットの中立性に拡大 | 下院での採決待ち |
HR5273 | Markey(民主) | インターネットの二重構造化の阻止 | *下院の委員会で審議中 |
HR5252 | Barton(共和)およびRush(民主) | FCCに違反行為を取り締まる権限を与える | 下院での採決待ち |
S.2686 | Stevens(共和)およびInouye(民主) | FCCが調査、検討を行う | 6月に上院の委員会で採決が行われる予定 |
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス