楽天リサーチと三菱総合研究所は5月24日、15歳から69歳の男女を対象に実施した「第21回携帯電話コンテンツ/サービス利用者調査」の結果を発表した。
今回の調査は、携帯電話でのワンセグ放送とモバイルナンバーポータビリティ(MNP)の認知と利用意向の状況などを把握することを目的とするもので、4月18日から4月24日にかけてウェブ上で実施された。回答者は2520人(男性50.0%、女性50.0%)、そのうち主要4社(ドコモ、au、ボーダフォン、ツーカー)の携帯電話利用者は2202人(回答者の87.4%)だった。
まず、ワンセグ放送の認知と理解度についての質問では、全体の38.8%がワンセグ放送の内容や特徴について理解していると回答した。男女別に見ると、理解していると答えたのは男性が49.9%、女性が27.7%で、男性10代〜20代の若年層では58.6%が理解していると回答した。
ワンセグ放送への関心度については、「ぜひ利用したい」「利用したい」と回答したのは全体の2割だったが、「関心はある」を含めると、全体の7割が関心を持っていることが分かった。特に、男性10代のうち4割以上が、ワンセグ放送を利用したいと回答しており、男性の若年層を中心に利用意向が高い。
携帯電話利用者のうち、次に携帯電話端末を買い替える際に、ワンセグ放送対応端末(ワンセグ端末)に買い替える予定と答えたのは、「ぜひ買い替えたい」と「買い替えたい」を合わせて全体の46.0%だった。10代から40代までの男性の場合、ワンセグ端末への買い替え予定者が5割を超えており、高い買い替え意向を示している。
さらに、携帯電話利用者に対し、外出時における行動とワンセグ端末への買い替え意向との関係について質問したところ、外出時にモバイル端末を使って何らかの行動をしている人の方が、何もしていないと答えた人に比べて買い替え意向が高いことが分かった。特に「モバイル端末で、インターネットやコンテンツを見る」と答えた人は、6割がワンセグ端末に買い替えたいと回答している。同様に「音楽を聴く」「ゲームをする」と答えた人も、ワンセグ端末への買い替え意向が高い。
ワンセグ放送に関心がある回答者に対し、予想されるワンセグの利用シーンについて質問すると、男女ともに、外出時の利用を想定している人が多く、なかでも「時間つぶしのためになんとなく見る」という回答が最も多かった。ただし、男女別にみると、男性の場合、外でスポーツなどのイベント観覧時にワンセグ放送も一緒に見る、といった利用シーンを挙げる人が多い。一方、女性では、外出先で連続ドラマ等の見逃したくない番組を見るといった理由を挙げている人が多かった。また、女性を中心に、回答者の2割がテレビを置いていない自宅内の場所でのワンセグ放送の視聴可能性を指摘している。
次回に携帯電話端末を買い替える際に、ワンセグ端末へと買い替えたいと回答した人のほとんどは、ワンセグ機能が無い端末(ワンセグ無し端末)に比べて高い価格でも買い替える意向を示している。「ワンセグ無し端末より1万円以上高くてもよい」とする人は全体の2割以上で、男性の場合は3割を占める。「5000円以上高くてもよい」という回答者まで含めると、全体の6割以上になる。一方、ワンセグ無し端末と同等の値段でなければワンセグ端末に買い替えないと回答した人は2割未満に留まっている。
次回の端末買い替え時にワンセグ端末に買い替えたいと回答した人にワンセグ放送およびワンセグ端末に関する課題について尋ねたところ、78.8%がワンセグ端末の価格と答えている。ついで、74.4%がワンセグ端末のバッテリが十分であることを挙げている。回答者全体に、ワンセグ放送のサービス内容面よりも、端末に関する課題を重視する傾向が見られる。
次に、MNP制度の認知状況について質問したところ、「制度の内容や開始時期などについて理解している」という回答は、携帯電話利用者の26.2%に留まった。「なんとなく知っている」という人まで含めると、携帯電話利用者の87.3%となる。2005年7月に実施した第17回調査(回答者2400人)と比較すると、前者は8ポイント、後者は6.1ポイント上昇している。属性別にみると、男性の31.1%が理解していると回答し、特に20代〜30代層において理解している割合が高い。一方、女性層や、10代、50代〜60代層などにおいては、理解と認知があまり進んでいない。
また、MNP制度を使って携帯電話会社を変更する意向がある人は、携帯電話利用者の20.5%で、第17回調査から2.5ポイント低下している。属性別にみると、30代、60代の男性と30代の女性に利用意向が高い傾向がある。第17回調査との比較では、60代の男性と30代の女性でMNP制度の利用意向が高まっている。
MNP制度の利用意向者に、変更先の携帯電話事業者の選定理由を尋ねたところ、変更先にドコモを選んだ回答者は、「通話エリアが広いから」「友人や家族がその携帯電話会社を使っているから」が多く、au、ボーダフォンを選んだ回答者では「料金が安いから」「割引プランがよいから」が多かった。
MNP制度利用時の手数料についてMNP制度の利用意向者に質問すると、手数料が無料であればMNP制度を利用するという人は全体の約3割だった。手数料が1000円であればMNP制度を利用したいという回答者は、MNP制度利用意向者の42.4%を占めている。2000円の場合、23.3%と半減し、第17回調査とほぼ同じだった。さらに、MNP制度ではメールアドレス、ダウンロードしたコンテンツなどは引き継げないが、そのような場合でもMNP制度を利用したいと回答した割合は、手数料が1000円であれば利用すると回答した者の44.5%だった。レポートでは、MNP制度の利用を促進するためには、電話番号以外のデータの引き継ぎも検討していく必要があるとしている。
MNP制度利用意向者に対し、MNP制度開始時に、どのようなサービスが充実していれば利用中の携帯電話事業者を継続利用するかについて質問したところ、最も多い回答が「料金割引サービスが他社よりも充実している」で72.9%、次に「端末の価格が他社よりも安い」(59.2%)、「他社にくらべて、通信サービスの品質が良い」(53.2%)、「端末が他社よりも魅力的である」(47.9%)だった。一方、「高速な通信サービスが利用できる」(25.5%)、「コンテンツ・サービスが他社より充実している」(18.8%)、「ICチップ搭載携帯によるサービスが充実している」(12.2%)等はそれほど多くなかった。通信サービスの高度化より、まず基本的な料金、品質、端末が、MNP制度に対抗する施策として重要であることが示されている。
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