有名人の追っかけサイトから、ジョギングファン向けのオンライン万歩計まで、マッシュアップサイトが大ブームになっているのは間違いない。ただし、この先には、それをどうにビジネスに結びつけるか、という難しい部分が待ちかまえている。
一部のマッシュアップサイトはベンチャーキャピタルから支援を受けているが、多くの投資家はこれらのサイトへの出資にあまり乗り気ではない。これらのサイトでは通常、GoogleやYahoo、Microsoftなどが提供している地図APIを利用して、使いやすいオンライン地図の上に情報を表示している。
マッシュアップが大きな人気を集めているのは、制作がかなり簡単なためだが、投資家らが慎重な姿勢を見せる最大の理由も、まさにその点にある。つまり、成功を収めているサイトを真似て、似たものをつくることもそれほど難しくないからだ。さらに、これらのサイトがどの程度の利益につながるかも明らかになっていない。マッシュアップは、ウェブ上に現れた「Next Big Thing」なのか、それとも小さな企業やマニア向けのスタイリッシュなニッチ技術で終わるのだろうか。
「地図を利用したマッシュアップはすでにコモディティだと思う」と、Leap Frog Venturesでマネージングディレクターを務めるPeter Rip氏は言う。「単純に2つのものを組み合わせただけで、その上にたくさんの知的財産を付加してあるわけではない。問題は、コンテンツを提供する側が見返りを欲しいと考えていることだ。実のところ、マッシュアップサイト側はコンテンツの販売代行をしているに過ぎない」(Rip氏)
だからといって、マッシュアップがビジネスにならないと言っているわけではない。地図技術を提供するGoogleやMicrosoftなどはいずれ、地図上に広告を掲載するようになるとみられている。これらの広告は、表示されている地域と関連性があるため、その分売上につながる可能性も高い。さらに、「Platial」や「Trulia」などのマッシュアップサイトは、ほかには見られない特徴を十分に備えていることから、すでに投資家の関心を集めている。
TruliaのCEO(最高経営責任者)、Pete Flint氏によると、不動産検索エンジンを運営する同社は、Accel Partnersや複数のエンジェル投資家から、800万ドル弱の資金を調達したという。
「われわれは基本的に不動産関連の技術/メディア会社であり、マッシュアップはその情報を表示する手段だ。投資家の目から見ると、その点が非常に魅力的だった」(Flint氏)
「The People's Atlas(万人のための大地図)」を自称するPlatialは、地図のパーソナライズを可能にし、その場所に関する話や出来事を記入できるようにしている。同社は、複数の個人投資家やベンチャーキャピタルのKleiner、Perkins、Caufield & Byers、そしてOmidyar Network投資グループなどから、エンジェル資金を調達した(金額は不明)。Platialの共同創業者Di-Ann Eisnor氏はインタビューのなかで、「あれはどの側面からみても実験だったと思う」と述べている。
「マッシュアップという新しい市場が姿を現しつつあるとは思わない。実際には、世界中の人々にとって個人の地理情報が重要であるという事実への言及に使われるなど、『マッシュアップ』という言葉自体が使われすぎだと思う」(Eisnor氏)
Platialでは、数週間以内に自社サイトでローカル広告を発信する計画を進めているが、その手法は従来のネット広告とは異なるものになると、Eisnor氏は述べている。
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