トロント大学の研究チームが、液体を物質の表面に塗布して、レーザー光で通信する回路を製造する新しい手法を開発した。
研究チームは4月に入って行った発表の中で、今回の開発が、チップ間の超高速接続の実現につながる可能性があると主張している。従来の手法には、より高速なコンピュータの設計する上で将来障害となる問題があるが、この新しい手法を使えば、この問題を回避できるという。
トロント大学でナノテクノロジー研究主任を務めるTed Sargent教授は声明の中で、「われわれは、物質の表面にレーザー回路を塗布する手法を開発した」と述べた。「これは、光ファイバーで情報を伝達するのに必要な不可視光線を発する、初の塗布タイプの半導体レーザーだ。将来的には、コンピュータ用のシリコンチップ上で、マイクロプロセッサ間を赤外線で接続できるようになる」(Sargent教授)
電気的な相互接続には、相互干渉や抵抗の増大といったさまざまな物理的問題がある。機器の小型化や高速化が進むと、こうした問題の影響も大きくなる。Intelはかつて、チップの動作速度が約10GHz以上になると、銅配線は使えなくなるかもしれないと述べたことがあった。約10年後には、チップの周波数は10GHzに到達すると予想されている。レーザーによる接続は、シリコンチップの電子回路と効果的に組み合わせることができれば、問題を減らしつつ、大幅な高速化を達成できる可能性がある。
トロント大学が開発したレーザーは、ナノ粒子を利用している。このナノ粒子は極小の粒で、いわば「カスタマイズされた原子」であり、塗料の中の粒子のように、液体の中で浮遊できる。ナノ粒子は、塗料の成分のように、一定の色について特別に活性化するように製造できる。さらに、光子を吸収したり放射したりするよう粒子の電子配置を調節することで、レーザー光を発する能力を持たせることができる。
「われわれは、ナノ粒子を正確な大きさに形成することにより、レーザーが発する光の色を調節できるようになった。ギタリストがギターの音程にふさわしいフレットを選択するように、われわれはナノ粒子のサイズ、さらには色を選択した」(研究員のSjoerd Hoogland氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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